「うちの子、間違いを指摘するとすぐ不機嫌に……」
「アドバイスしても『わかってる』の一点張り」
そんなお悩みを持つ保護者の方は少なくありません。
プライドが高く、人の話を聞き入れにくい子どもは、一見わがままに見えたり、扱いづらく思えたりするものですが、その背景には繊細さや自己防衛の心理が隠れています。
この記事では、プライドの高い子どもの特性を理解し、効果的に関わるための考え方と具体的なアプローチをお伝えします。
「プライドが高い」は長所の裏返し
まずお伝えしたいのは、「プライドが高い=悪いこと」ではないということです。
プライドが高い子どもには、次のような特徴がよく見られます。
- 自分の考えややり方に自信を持っている
- 努力家で完璧を目指す傾向がある
- 他者からの評価に敏感で、傷つきやすい
- 自分の失敗を人前で認めるのが苦手
つまり、理想が高く、向上心があり、自分の世界観を大切にしているのです。
その一方で、自己否定や劣等感を強く避けるあまり、「アドバイス=否定」と受け取りやすくなる傾向があります。
話を聞かないのではなく、「聞けない理由」がある
大人から見ると「人の話を聞かない」ように映っても、実際は自分の価値を守るために、心を閉じてしまっていることが多いのです。
以下のような背景が考えられます。
- 「失敗を認めたら、自分の価値がなくなる」と感じている
- 「自分のやり方を否定される」と思い込み、反発してしまう
- 「アドバイスされる=バカにされている」と受け取ってしまう
このような心の動きは、決してわがままでも反抗でもなく、未熟な自己肯定感の表れなのです。
プライドの高い子どもと向き合う5つの関わり方
では、具体的にどのように関わると良いのでしょうか。
ここでは、保護者や指導者が実践できる5つの対応法をご紹介します。
1. 指摘よりも「共感」から始める
最初に心を開いてもらうためには、「君の気持ち、わかるよ」という共感の一言が効果的です。
例:
- 「悔しかったんだね」
- 「自分のやり方に自信があるんだね」
いきなりアドバイスせず、まずは“気持ちの承認”をすることで、防御反応が和らぎます。
2. アドバイスは「提案型」で伝える
命令口調や否定的な表現は、プライドを刺激しやすくなります。
例:
- 「だから言ったでしょ」 → ×
- 「こうするともっと良くなるかもね」 → ○
「間違っている」と正面から指摘するのではなく、あくまで“選択肢のひとつ”として提案する姿勢が大切です。
3. 「自分で気づく」仕掛けをつくる
プライドの高い子は、自分で気づいて、自分で決めたいという欲求が強い傾向があります。
そのため、あえてすぐに答えを教えず、問いかけによって思考を促すのが効果的です。
例:
- 「そのやり方、どんな結果になりそう?」
- 「もし違うやり方があるとしたら、どうする?」
自分で考えて答えにたどり着けたとき、最も素直に受け入れやすくなります。
4. 小さな成功を積み重ねて「自信の土台」をつくる
自分に自信がない子ほど、プライドという鎧で自分を守ろうとします。
そのため、「できた」「うまくいった」という体験を少しずつ積み重ねることがとても重要です。
成功したときには、結果よりもプロセスを丁寧に認める声かけを心がけましょう。
例:
- 「自分のやり方で最後までやり切ったね」
- 「工夫してみようとしたところ、すごく良かったよ」
5. 負けず嫌いを「成長の原動力」として生かす
プライドの高い子には、負けず嫌いな気質が見られることもあります。
それを否定せず、「向上心の表れ」として捉えることがポイントです。
たとえば、競争や比較で焦るのではなく、「昨日の自分と比べて成長できたかどうか」に焦点を当てると、前向きなモチベーションに変わります。
長い目で見て「対話の土台」を育てることが大切
プライドの高い子どもとの関わりで大切なのは、すぐに従わせようとしないこと、長期的な信頼関係を築くことです。
- 自分の考えを大切にしながら、他者の意見も受け入れられる柔軟さ
- 他者の視点に立って物事を考えられる社会性
- 失敗を恐れず挑戦できるしなやかな心
これらは、時間をかけて育まれる「人間力」です。
子どもの強いこだわりや反発は、「自分らしくありたい」という願いの裏返し。
その願いを否定せず、丁寧に受け止めながら関わることが、長い目で見た成長につながります。
まとめ:プライドの高さは「可能性の高さ」
「話を聞かない」「素直じゃない」と感じる子どもも、その奥には高い理想と向上心、そして繊細な自尊心が存在しています。
一時の態度に振り回されるのではなく、子どもが安心して心を開ける関係性を育てること。
そして、「できた」「気づけた」という体験を積み重ねることで、プライドの高さを“成長力”へと変えていくことができます。
大人が信じて待つことで、子どもはやがて、自ら学び、人の話を受け入れられる柔軟な心を育てていくでしょう。
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