「何事にも全力を尽くしなさい」
これは昔からよく聞く教育的な言葉です。一方で最近では「ゆとりをもって」「無理しなくていい」といった声も増えてきました。
子どもにとって、どちらの姿勢がより良いのでしょうか?
この記事では、教育現場や家庭で見られる両方の考え方を整理し、子どもたちの健やかな育ちを支える「がんばり方」について考えていきます。
全力を尽くす姿勢が育てるもの
全力で物事に取り組むことは、子どもにとって多くの学びをもたらします。
・努力する大切さを知る
・自信と達成感を得る
・あきらめない粘り強さを育む
特にスポーツや受験勉強、コンクールなど、「成果」が目に見える場面では、全力で挑む経験が心を鍛えてくれます。
しかし同時に、すべてのことに100%の力を注ごうとするあまり、疲弊や自己否定感を招くこともあるのです。
「もっと頑張れたはず」「あの子の方ができている」と、自分を追い詰めてしまう子どもも少なくありません。
「ゆとりをもって取り組む」が意味すること
では、「ゆとりをもってやればいい」とは、どのような姿勢でしょうか?
ここで言う「ゆとり」は「手を抜く」ことではありません。
むしろ、「自分の気持ちや体調に耳を傾ける」「一息つく余白をもつ」といった、自己理解や感情のセルフケアを含んだ大切な感覚です。
ゆとりを意識することによって、
・気持ちが安定し、物事に長く取り組める
・自分の限界に気づける
・他人と比較しすぎず、自分なりのペースを大切にできる
という効果があります。
子どもに伝えたい「力のかけ方を調整する知恵」
すべてに全力を出せば心身がもちません。一方で、常に気持ちにゆとりを求めると、成長のチャンスを逃してしまうことも。
そこで重要なのが、「どこに力を注ぐかを自分で選べる力」を育てることです。
たとえば、
- 大事な場面では集中して全力を出す
- 疲れているときは意図的に力を抜く
- 得意分野は全力で、苦手は自分のペースで
こうした力のかけ方のバランスを経験から学ばせることが、子どもを長期的に支える「がんばり方」の土台になります。
大人ができる声かけとサポート
子どもにとって大人の言葉は非常に影響力があります。
たとえば、
- 「今日はここまで頑張ったね」とプロセスを認める
- 「疲れたら少し休んでまたやろう」と回復のゆとりを与える
- 「今は大事な時期だから踏ん張ろう」と挑戦を応援する
といった声かけをすることで、子どもは「ただ頑張ればいい」ではなく、考えながら頑張る知恵を身につけていきます。
また、大人自身が「今日は力を抜く日」「集中して取り組む日」とバランスよく過ごしている姿を見せることも、よい手本になります。
まとめ|全力もゆとりも、どちらも大切な選択肢
「全力を尽くすべきか、ゆとりをもって取り組むべきか」という問いには、どちらか一方の正解はありません。
むしろ、状況に応じて使い分けられることが、現代の子どもたちに必要な力です。
・挑戦のときには一歩踏み込む勇気
・疲れたときには自分を守る余白
どちらも大切にできる子どもは、やがて自分で「ここは頑張る」「ここは少し休む」と判断し、しなやかに人生を歩んでいけるはずです。
私たち大人にできるのは、「どちらもあっていい」と伝えること。
そして、「子ども自身が選べる力」を育てることなのです。
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