「先生、なんで空は青いの?」 「どうして鳥は空を飛べるの?」
子どもたちの好奇心と探究心は、私たち大人には計り知れないパワーを秘めています。
この無限の可能性を秘めた「なぜ?」を、ただ「知る」だけで終わらせていませんか?
これからの時代を生き抜くためには、子どもたちが自ら学び、考え、新しい価値を生み出す力が重要です。
そこで注目されているのが「知識創造理論」。
今回は、「知識創造理論」を教育現場でどのように活用できるのか、具体的な事例を交えながらわかりやすく解説していきます。
知識創造理論って?子どもたちの「?」を「!」に変える学びとは
知識創造理論とは、1995年に野中郁次郎氏らによって提唱された、組織における知識創造のプロセスを説明する理論です。
従来の「知識は個人が頭の中に蓄積するもの」という考え方とは異なり、「知識は人と人との相互作用を通じて創造される」という点が画期的です。
この理論を教育現場に当てはめると、子どもたちはただ知識を詰め込むのではなく、先生や友達との対話、実体験を通して、自ら知識を創造していく主体的な学習者として捉えられます。
知識創造スパイラルと呼ばれる、 ①共同化(共有化) ②表出化 ③連結化 ④内面化 という4つのプロセスを繰り返すことで、子どもたちは「暗黙知」を「形式知」へと転換し、新たな知識を生み出していきます。
例えば、子どもたちが「なぜ空は青いのか?」という疑問をもつとします。
図鑑やインターネットで調べるだけでなく、友達と意見交換したり、先生に質問したりすることで、多様な視点や解釈に触れることができます。
このプロセスを通じて、子どもたちは断片的な知識を繋ぎ合わせ、自分なりの理解を深めていくのです。
「創造力」を育む!教育現場での知識創造理論の実践例
では、具体的に教育現場でどのように知識創造理論を活用すれば良いのでしょうか?
ここでは、すぐに取り入れられる実践例をいくつかご紹介します。
- グループワークで「対話」を促進:多様な視点を取り入れる
- あるテーマについて、子どもたちをグループに分け、それぞれの意見を出し合ったり、議論したりする時間を設けます。
- 異なる意見を持つ子も受け入れ、多様性を尊重する姿勢を育むことが重要です。
- 実体験を重視:五感を刺激するフィールドワーク
- 教科書で学ぶだけでなく、実際に自然や社会と触れ合うことで、子どもたちの五感を刺激し、より深い学びに繋げます。
- 例えば、植物の観察、歴史的な建造物の見学、地域の人々へのインタビューなどを通して、生きた知識を習得することができます。
- ICTツールを活用:表現の幅を広げるデジタルツール
- インターネット、タブレット、デジタル教材などを活用し、子どもたちの表現の幅を広げます。
- 例えば、調べたことをまとめたプレゼンテーション資料を作成したり、動画で表現したりする活動を通して、創造性を育みます。
- 遊びを取り入れた学び:ゲームで楽しく知識創造
- 知識創造のプロセスをゲーム感覚で体験できるよう、楽しみながら学べる工夫を取り入れます。
- 例えば、歴史をテーマにしたボードゲームや、プログラミングを通して創造性を育むゲームなどを通して、自然と知識を身につけることができます。
未来を創造する子どもたちへ:知識創造力を育むために私たちができること
知識創造力を育むためには、子どもたちを取り巻く環境も重要です。 そこで、教師・保護者ができることをいくつかご紹介します。
- 教師・保護者の役割:子どもたちの「?」を大切にする
- 子どもたちの「なぜ?」「どうして?」という疑問を、急がずにじっくりと聞き、一緒に考える姿勢が大切です。
- 正解を押し付けるのではなく、「面白いね!」「もっと知りたいね!」と共感することで、子どもたちの探究心を育みましょう。
- 家庭での学習環境:日常生活の中に「発見」を
- 日常生活の中で、子どもたちが「不思議だな」「面白いな」と感じる瞬間を大切にし、新たな発見に繋げられるよう促しましょう。
- 例えば、料理の手伝いをしながら食材について学んだり、一緒にニュースを見て意見交換したりするのも良いでしょう。
- 失敗を恐れない:挑戦を応援する
- 知識創造のプロセスでは、試行錯誤がつきものです。
- 失敗を恐れず、何度でも挑戦できるよう、子どもたちを励まし、応援する姿勢が大切です。
まとめ
今回は、知識創造理論を教育現場で活用する方法について解説しました。
子どもたちが本来持っている「知りたい!」という気持ちを引き出し、育んでいくことが、未来を生き抜く力を育むことに繋がると信じています。
私たち大人が、子どもたちの「なぜ?」を「!」に変えるための学びを提供することで、子どもたちは未来の創造者として、より良い社会を築き上げてくれることでしょう。