子どもが学校に行きたがらない。朝になるとお腹が痛い、頭が痛い、泣き出してしまう。そんな登校しぶりに直面したとき、夫婦の間で対応の考え方が異なることはよくあります。
「甘やかしちゃダメだ、無理にでも行かせるべき」という夫と、「無理はさせたくない、少し休ませて様子を見たい」という妻。あるいはその逆かもしれません。
実はこの“夫婦の対応のズレ”が、子どもにとってのストレスをさらに強めてしまう要因になることも。今回は、そんな時にどう考え、どうすり合わせていけば良いのかについてお伝えします。
夫婦で意見が割れるのは当たり前
そもそも、子どもの登校しぶりへの対応に夫婦で違いが出るのは、「価値観」「育ってきた環境」「心配の表現の仕方」が違うからです。
- 自分は休まず学校に通った経験がある
- 甘やかした結果、余計に不登校が長引いたという周囲の事例を知っている
- メンタルケアを重視する職業・経験を持っている
- 学校を休む=問題、という認識が強い
など、さまざまな背景があります。
意見の違いは、「どちらが正しい/間違っている」ではなく、それぞれが“子どものために”と思っているからこその反応であるという前提を、まず夫婦間で共有することが重要です。
まず「子どもの視点」で話し合う
意見が食い違ったとき、つい感情的になって「あなたはいつも強引」「優しすぎて甘やかしてる」といった人格否定の応酬になりがちです。しかし、それでは建設的な話し合いになりません。
大切なのは、夫婦ともに“子どもの目線”で考えること。
「子どもは何に困っているのか?」「どう感じているのか?」を出発点に、「この子が安心して過ごせるにはどうすればいい?」という共通のゴールを持つようにしましょう。
たとえば:
- 「朝になると涙が出るということは、相当な不安があるのかも」
- 「体調不良が続くなら、心因性の可能性もある」
- 「学校に行けないこと以上に、心の安全を保つことが大事では?」
といったように、“目の前の登校”ではなく“子どもの心の状態”を中心に据えると、夫婦の視点が近づいてきます。
意見が違っても、子どもの前では「一枚岩」を演じる
夫婦で意見が割れていることを、そのまま子どもに見せるのは避けるべきです。
特に繊細な子どもは、「ママは味方、パパは敵」「どちらかを怒らせてしまった」と感じ、自責感や混乱を抱えてしまうことがあります。
親の間で意見がぶつかっても、最終的な対応方針はひとつにして子どもに伝えることが、子どもの安心につながります。
どうしても折り合いがつかない場合は、
- 子どもの前では「話し合った結果、こうすることに決めたよ」と伝える
- 自宅以外の場所(カフェ・車内など)で夫婦だけで冷静に話し合う時間を持つ
など、家庭内で“安心して迷える場”をつくる工夫が大切です。
どちらか一方の意見に寄らず、専門家の視点を借りる
夫婦の意見が真逆でどうしても溝が埋まらないときは、第三者の専門家の意見を参考にするのも一つの手です。
- 担任やスクールカウンセラー
- 小児科や心療内科
- 教育や発達の専門家(学習支援や心理支援のアドバイザーなど)
子どもの状況を冷静に見つめた上で、主観を外したアドバイスを受けることで、夫婦の意見の折り合いがつきやすくなる場合があります。
また、専門家が関与することで、片方の親が「自分だけが頑張っている」という孤立感を抱かずに済むという効果もあります。
夫婦の関係性こそが子どもの安心の土台になる
子どもが「学校に行きたくない」と言うとき、実は親の関係性が大きく影響することがあります。
子どもにとって家庭とは、「社会の前にある最初の居場所」。その居場所が安心できるものであることが、外の世界に向かって一歩踏み出す力になります。
夫婦で考えが違うときこそ、“違い”を尊重しながら、“共通する愛”を確認し合うことが大切です。
- 「私たち二人とも、この子を大切に思っている」
- 「意見は違っても、この子の幸せを願っている点は同じ」
- 「迷いながらでも一緒に悩んでいこう」
この気持ちを共有できれば、たとえ完璧な対応でなくても、子どもには安心感が伝わります。
まとめ:意見の違いは“愛のかたち”の違い
- 夫婦の意見の違いは当然であり、どちらかが正しい・間違いではない
- 話し合いの土台を「子どもの目線」に置くことで、意見が近づきやすくなる
- 子どもには“意見の一致”ではなく、“対応の一貫性”が安心材料となる
- 第三者の専門的な視点も時には有効
- 最終的に大切なのは、夫婦間の信頼と協力の姿勢
登校しぶりの背景には、子ども自身の不安や迷いがあります。そして、それに向き合う親の姿勢が、子どもにとっての「大人のモデル」になります。
意見が違うからこそ、支え合える。そうした夫婦の姿を見せることが、子どもの成長にとって、なによりの力になるのです。
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