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「聴く力」は育てられる──受動的な聴き方と能動的な聴き方の違いとは

聞き方
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「ちゃんと話を聞いてるのに、なんだか通じない」
「子どもが私の話をまったく聞いていない気がする」

家庭や教育現場でこんな経験をしたことはありませんか?

それは、単に「聞いている」つもりでも、本当に“聴けている”わけではないからかもしれません。
人の話を聴くには、「受動的な聴き方」と「能動的な聴き方」の2つがあります。

本記事では、この2つの違いと、子どもや保護者が意識したい“聴く力の育て方”について詳しく解説します。

目次

受動的な聴き方とは?ただ聞いているだけでは伝わらない

受動的な聴き方とは、相手の話をただ耳で受け取るだけの姿勢を指します。
このときの聴き方には、以下のような特徴があります。

  • 相手の話を遮らずに黙っている
  • うなずきや相づちは最小限
  • 特に感情や関心を示さず聞き流している
  • 自分の考えや反応は口に出さない

このような聴き方は、「聞いている」けれど「心では反応していない」状態です。

たとえば、子どもが学校での出来事を話しているときに、大人がスマホを見ながら「ふーん」と返していたとしたら、それは受動的な聴き方の典型です。
子どもからすれば、「あ、聞いてもらえてない」と感じ、話す意欲が失われてしまいます

能動的な聴き方とは?心で聴き、共感を返すコミュニケーション

対して、能動的な聴き方とは、相手の話に興味・関心を持ち、自ら関わろうとする姿勢で聴くことを指します。
以下のような特徴があります。

  • 目を見て話を聞く
  • タイミングよくうなずきや相づちを返す
  • 相手の感情を言葉にして共感を示す(「それは悔しかったね」など)
  • わからない部分は質問し、より深く理解しようとする

このように、話し手と心の距離を縮めながら聴く姿勢が、能動的な聴き方の本質です。

たとえば、子どもが「今日は友達とケンカした」と言ったとき、

  • 「ふーん、そうなんだ(受動的)」よりも、
  • 「そうか、それはイヤだったね。何がきっかけだったの?」(能動的)

と返すことで、子どもは「ちゃんとわかってもらえた」と感じ、心を開いてさらに話したくなるのです。

聴き方の違いが子どもの自己肯定感に与える影響

子どもは、大人とのコミュニケーションの中で「自分の存在をどう受けとめられているか」を日々感じています。

つまり、

  • ただ聞き流される(受動的に聴かれる)→「自分の話には価値がないのかな」
  • しっかり向き合ってもらえる(能動的に聴かれる)→「自分は大切にされている」

このように、聴き方ひとつで自己肯定感の育ち方は大きく変わるのです。

とくに発達段階の途中にある子どもにとっては、大人からの反応がそのまま「自分の価値の物差し」になりがちです。
だからこそ、大人が能動的に聴くことは、子どもへの最大の愛情表現とも言えます。

能動的に聴くための5つのコツ

能動的な聴き方は、意識すれば誰でも習得できます。
以下に具体的な5つのポイントをご紹介します。

1. 聴く姿勢を整える

  • 子どもの目線に合わせて身体を向ける
  • 手やスマホを止めて「今からあなたに集中してるよ」と示す
  • 顔の表情に柔らかさをもたせる

まずは「あなたの話を大事に聴きます」という雰囲気づくりが重要です。

2. 相づちやうなずきでリズムを作る

「うん」「そうなんだ」「へえ、それで?」など、相手が話しやすいリズムを作ることがポイントです。
不自然にオウム返しする必要はなく、自然なタイミングで反応することが信頼感につながります

3. 感情に焦点を当てて共感を返す

話の内容だけでなく、「どう感じたのか」に注目することが重要です。
「それはうれしかったね」「がんばったんだね」など、子どもの気持ちに寄り添う返しが効果的です。

4. 質問は“答えを引き出す”ためではなく“気持ちを深める”ために

「なんでそうなったの?」という詰問ではなく、
「そのとき、どう思った?」と感情を深める質問が、より豊かな対話を促します。

5. 最後まで聴き切る。途中で評価・アドバイスをしない

途中で「でもさ、それはこうすればよかったじゃない」とアドバイスや否定を挟むと、子どもは語る意欲を失ってしまいます
まずは最後まで話を聴き切ること。そのうえで「聞かれたら」助言する姿勢が大切です。

聴く力を育てることは「生きる力」を育てること

能動的に聴く力は、子どもにとっても大人にとっても生きるうえで不可欠な力です。

子どもが大人から「聴いてもらった経験」を重ねることで、

  • 他者の話を丁寧に聴ける
  • 感情を言葉にできる
  • 自分の考えを整理できる
  • 相手の視点に立てる

こうした社会的スキルや対人関係能力の土台が自然に育まれていきます。

つまり、「聴く」は単なる受け身の行為ではなく、能動的な“心の交流”の起点なのです。

まとめ:今、この瞬間の「聴き方」が未来をつくる

「子どもとしっかり向き合いたい」
「家庭や教室で、もっと深い関係を築きたい」
そう願うすべての大人にとって、聴き方はもっともシンプルで効果的なコミュニケーション技術です。

今日からできる小さな工夫の積み重ねが、子どもにとって「話してよかった」「伝えてよかった」という実感につながります。

“聴くこと”は、何よりの贈り物。

言葉を超えて伝わるこの力を、日々の関わりの中で育んでいきましょう。


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