「この子、なぜこういうことを言うのだろう?」
「本音をもっと話してほしい」
そんな思いで子どもに関わることはありませんか?
しかし、子どもが本音を語るかどうかは、大人がどんな“聞き方”をしているかに大きく左右されます。
特に大切なのが、「ジャッジメント(判断)を持って聴くか、持たずに聴くか」という視点です。
本記事では、「ウィズジャッジメント(評価を伴う聴き方)」と「ウィズアウトジャッジメント(評価を伴わない聴き方)」の違いと、子どもとの信頼関係を育むための具体的な接し方をお伝えします。
「ウィズジャッジメント」は、無意識に子どもを萎縮させる
「そんなこと言っちゃだめでしょ」
「もっと○○しなきゃ」
「それって間違ってるよね」
これらの言葉は、決して悪意を持ったものではありません。むしろ、子どもを正しく導きたいという愛情から出ているケースが多いでしょう。
しかしこのように、話を聞く途中で“評価・指導・アドバイス”を入れてしまうと、子どもは次第にこう思うようになります。
- 「どうせまた怒られる」
- 「自分の気持ちはダメなものなんだ」
- 「本音を言ってもムダだ」
つまり、子どもが感じたままを言葉にする場が奪われていくのです。これが、「ウィズジャッジメント(with judgment)」の聞き方がもたらす最大のデメリットです。
「ウィズアウトジャッジメント」が、子どもの心を開く
一方で、「ウィズアウトジャッジメント(without judgment)」の聞き方とは、相手の言葉や感情に対して、評価や否定をせずに、ただ“そのまま受け取る”聴き方を指します。
例えば、子どもがこんなことを言ったとします。
「学校、もう行きたくない」
このとき、ウィズジャッジメントだと……
- 「そんなこと言っちゃだめよ」
- 「どうして行きたくないの?」
- 「またさぼりたいの?」
と、“指摘”や“問い詰め”が入ります。
でも、ウィズアウトジャッジメントなら……
- 「そっか、行きたくない気持ちなんだね」
- 「うんうん、そう思ったんだね」
- 「それくらい疲れてるんだね」
と、まず感情の存在自体を認め、言葉に共感を返すことができます。
すると子どもは、「ちゃんと聞いてもらえた」「否定されなかった」と安心し、自分の気持ちや背景を徐々に話し始めてくれるのです。
「評価を保留する聞き方」ができると、子どもは自分で気づいて変わる
大人がすべきことは、子どもをコントロールすることではありません。
むしろ、「話すことで自分の感情や状況を整理できる場をつくる」ことが、子ども自身の内面の成長につながります。
ウィズアウトジャッジメントの聞き方を実践するには、次のような心がけが効果的です。
- 「正しい・間違い」の判断をいったん脇に置く
- 「どうすればいいか」よりも、「どう感じているか」に注目する
- 話し手の価値観や背景に想像を巡らせる
- 途中でアドバイスをせず、最後まで話を聞き切る
これは、いわゆる「傾聴」とも重なる姿勢であり、子どもとの信頼関係の礎になります。
どうしても言いたくなるときは「順番」を工夫する
とはいえ、保護者や指導者として、「今の言動はよくないな」「これは伝えておきたいな」と感じることもあるでしょう。
そうした場合に大切なのは、「伝えるタイミング」と「順番」です。
まずは感情に共感し、気持ちを受け止めた上で、こう伝えると効果的です。
- 「○○って思ったんだよね。そう感じたの、すごく分かるよ」
- 「じゃあ、どうしたらよかったと思う?」
- 「私だったらこういう言い方をしたかも。どう思う?」
このように、一方的に指導するのではなく、対話の中で導いていくことが、子ども自身の“考える力”と“受け入れる力”を育てます。
聞き方が変わると、子どもとの関係も変わる
「子どもが本音を話してくれない」
「言えば言うほど、反発される」
こうした悩みの根本には、「聞く姿勢」にジャッジメントが入り込んでいる可能性があります。
聞き方を変えるだけで、驚くほど子どもとの関係性は改善されます。
- 感情を安心して出せるようになる
- 自分の思いを言葉にできるようになる
- 相手の意見を聞く余裕が育つ
これは、すべて「聴く側の姿勢」が与える影響です。
まとめ:まずは“評価せずに聞く”という練習から始めよう
大人でも、「話している途中でさえぎられる」「すぐに評価される」ことが続けば、話したくなくなります。
それは、子どもも同じです。
「評価せずに聴く」という聞き方は、最初は意識的な練習が必要です。
けれど、意識し続けることで、子どもとの会話に安心と信頼が生まれ、関係性は自然と深まっていきます。
最後にポイントを整理します。
- 「ウィズジャッジメント」は否定・指摘・評価を伴う聞き方
- 「ウィズアウトジャッジメント」は共感と受容に徹する聞き方
- 聴き方を変えることで、子どもは本音を話しやすくなる
- 指導が必要なときも、まずは共感→対話の順で進める
- 聞き方を変えることが、信頼関係を築く第一歩となる
子どもの声に、ただ耳を傾けること。
そこからすべてが始まります。
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