子育てをしていると、ふとした瞬間に「どうしてうちの子はこうなんだろう?」と立ち止まってしまうこと、ありますよね。
元気いっぱいで片時もじっとしていない子、新しい場所に行くと私の後ろに隠れてしまう子、お気に入りのおもちゃが少し動いただけで泣き出してしまう子。
周りの子と比べては、「もっと落ち着いてくれたら」「もっと積極的になれたら」と、つい無い物ねだりをしてしまうかもしれません。でも、ちょっと視点を変えてみると、その「困った一面」こそが、その子が一生懸命に自分を表現している宝物の原石だったりするのです。
今回は、38年間教育の現場でたくさんの親子と向き合ってきた経験から、お子さんが生まれ持った気質を味方につけて、その子だけの才能をスルスルと伸ばしていくヒントを一緒に探していきましょう。
そもそも「気質」って、どんなもの?
よく「性格」という言葉を使いますが、実は「性格」と「気質」は少し違います。
性格は、育ってきた環境や人間関係の中で少しずつ形作られていく、いわば「後から着るお洋服」のようなもの。対して気質は、生まれた瞬間から備わっている「心の種」のようなものです。
「この子はちょっと慎重な種を持って生まれてきたんだな」「この子は情熱的な赤い花の種だな」というふうに、まずはその種の種類を知ることから、オーダーメイドの子育てが始まります。
1960年代にニューヨークで行われた有名な研究でも、子どもの気質に合った関わり方をすることで、その子の持っている力が驚くほどスムーズに引き出されることが分かっています。
「うちの子は育てにくい」と感じているなら、それはお子さんに問題があるのではなく、ただ「今の関わり方とお子さんの気質が、パズルのピースのように少しズレているだけ」なのかもしれません。
お子さんの「心の種」を見つけるチェックリスト
まずは、お子さんがどんな種を持っているのか、9つの角度から眺めてみましょう。どれが良い・悪いではありません。すべてがその子の個性を形作る大切な要素です。
1. 体を動かすのが大好き?(活動性)
- 常に手足が動いている
- 座って静かにしているのがちょっと苦手
- 外遊びをすると、いつまでも元気に走り回っている
2. 生活リズムは決まっている?(規則性)
- お腹が空く時間や眠くなる時間がだいたい同じ
- 決まったルーティンがあると安心する
- 予定が急に変わると、パニックになったり嫌がったりする
3. 初めてのことに物怖じしない?(反応性)
- 知らない場所でも自分からどんどん入っていく
- 新しいおもちゃを与えると、すぐに遊び始める
- 初めて会う人にもニコニコと愛想がいい
4. 刺激に敏感なほう?(敏感性)
- 洋服のタグのチクチクや、音の大きさを気にする
- 他人の表情の変化にすぐ気づく
- 光や匂いに対して、人一倍敏感に反応する
5. 変化にすぐ馴染める?(順応性)
- 入園や入学、クラス替えなどに慣れるのが早い
- 苦手な食べ物も、何度か出すと食べられるようになる
- 「まぁ、いっか」と切り替えが早い
6. 喜怒哀楽ははっきりしている?(感情性)
- 笑うときは全力、泣くときも全身で表現する
- 何に対しても情熱的に取り組む
- 周りの人が驚くほど激しく怒ることがある
7. 気が散りやすい?(可変性)
- 遊んでいる最中に別の音がすると、そちらを見てしまう
- 宿題をしていても、つい別のことに意識がいってしまう
- 切り替えが早いので、嫌なことがあってもすぐ忘れる
8. 一つのことに没頭する?(集中性)
- 周りが声をかけても気づかないほど集中する
- パズルや読書など、静かな遊びが好き
- 途中で邪魔をされるのを極端に嫌がる
9. 粘り強くやり遂げる?(持続性)
- 難しいことでも、できるようになるまで何度も挑戦する
- 一度決めたことは最後までやりたがる
- 「もう終わりだよ」と言われても、なかなか止められない
才能を伸ばすための「魔法の言い換え」
チェックリストを見て、「あ、これだ!」と思うものはありましたか?
気質が分かったら、次は日常の関わり方を少しだけチューニングしてみましょう。大切なのは、短所に見える部分を長所として捉え直すことです。
体を動かさずにはいられない子への関わり
静かにさせようと必死になるよりも、まずはエネルギーを出し切る場所をセットしてあげることが先決です。
例えば、学習の合間に「1分だけ全力ダッシュ!」と運動を挟んでみてください。すると、脳がスッキリして、その後の10分間は驚くほど集中できたりします。
「じっとしていなさい!」と叱る代わりに、「今は思い切りパワーを発散する時間だよ!」とメリハリをつけてあげると、お子さんの溢れるバイタリティが「行動力」という才能に変わっていきます。
変化が苦手で慎重な子への関わり
新しい環境で固まってしまう子は、それだけ周りをよく観察し、危機管理能力が高いという証拠です。
「早く行きなさい」「意気地なしね」なんて言葉は、心のシャッターを下ろしてしまいます。
そんなときは、「今はじっくり観察して、準備をしているんだね」と寄り添ってあげてください。あらかじめ明日の予定を絵に描いて伝えておくなど、見通しを立ててあげるだけで、お子さんの不安は安心感に変わり、やがて「慎重に、確実に物事を進める力」として開花します。
感受性が豊かで繊細な子への関わり
音や光、人の気持ちに敏感な子は、将来人の痛みが分かり、クリエイティブな表現ができる可能性を秘めています。
「気にしすぎだよ」と一蹴するのではなく、「その繊細さは、あなたにしかない素敵な感性だよ」と伝えてあげましょう。静かな環境を整えてあげたり、感じたことを絵や文章にする機会を作ったりすることで、その敏感さは「深い洞察力」という素晴らしい才能へと繋がっていきます。
親子の笑顔を増やす「3つの心の習慣」
気質に合わせた関わりを続けるために、お父さんやお母さんに大切にしてほしい習慣があります。
- 「普通」という枠を一度外してみる「この年齢ならこれくらいできて当たり前」という基準は、一旦横に置いておきましょう。目の前のお子さんが見せている反応が、その子にとっての「今」の真実です。
- 成功体験のハードルをグッと下げる気質に合った工夫をして、少しでもうまくいったら、一緒に全力で喜んでください。小さな「できた!」の積み重ねが、お子さんの自信の根っこを強く、太く育てます。
- 親自身の気質も大切にする実は、親御さん自身にも気質があります。活発な親御さんが慎重なお子さんを育てれば、もどかしく感じるのは当然です。自分の気質とお子さんの気質が違うことを知るだけで、「あ、だから合わなかったんだ」と心がフッと軽くなるはずです。
おわりに
子育てに「正解」はありません。でも、お子さんが持って生まれた「気質」という設計図を理解することで、無理に形を変えようとする苦しさからは解放されます。
凸凹があるのは、当たり前。その凹凸こそが、社会に出たときに誰かを助けたり、新しいものを生み出したりする最強の武器になるのです。
今日から、お子さんの「困った行動」の裏側にある「素敵な才能の種」を、宝探しのように見つけてみませんか?その温かい眼差しこそが、お子さんの未来を照らす一番の光になるはずです。
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