「がんばったのに、またダメだった」
「友だちにひどいことを言われた」
「勉強も運動も全部いやになった」
——そう言って、子どもが泣き崩れたり、自分の部屋に閉じこもってしまったとき。
それはまさに、「心が折れた」状態です。
無力感、失望、自信喪失。子ども自身がどう立ち上がればいいかわからないとき、周囲の大人の関わり方が、その後の回復力に大きく関わってきます。
この記事では、教育心理・子育て支援の立場から、心が折れた子どもに対する具体的な対応法をわかりやすく解説します。
子どもの感情を尊重しながら、再び立ち上がる力を育むためのヒントとしてお役立てください。
「心が折れる」とはどういう状態か?
「心が折れる」とは、心理的に強いダメージを受け、これまで続けてきた努力や期待を手放す状態のことを指します。
子どもが心を折られる場面はさまざまです。
- テストで思うような点が取れなかった
- 習い事やクラブ活動で失敗した
- 友人関係で孤立した
- 家庭内で怒られ続けた
- 努力が報われず、自己否定に陥った
こうした出来事は、大人にとっては「たいしたことがない」と見えるかもしれません。
しかし、子どもにとっては世界のすべて。その分、心の傷は深くなるのです。
重要なのは、「心が折れたこと」を責めたり矯正しようとするのではなく、今、何を感じているかに寄り添うことです。
子どもが心を閉ざしたとき、大人がまずすべきこと
1. 「受け止めること」が最優先
子どもが感情的になっているとき、つい「そんなことでへこたれてどうするの」「まだ頑張れるよ」と言いたくなります。
でもその前に必要なのは、全ての感情を「そのまま受け止めること」です。
- 「くやしかったんだね」
- 「つらいって思うの、当然だよ」
- 「気持ちがぐちゃぐちゃになってるのかな」
といった共感的な言葉かけが、子どもの心の扉をもう一度開くきっかけになります。
2. 回復には「時間」がかかると心得る
心が折れた状態から立ち直るには、時間的な余白が必要です。
大人の都合で「もう元気になろう」と急かさないことが大切です。
- 休ませる
- 無理に話を引き出さない
- ただ一緒にいる時間を大切にする
この“何もしない支援”が、子どもにとって最大の安全基地となります。
3. 失敗を「意味ある体験」に変換する
子どもが少し落ち着いたら、出来事を振り返り、失敗や挫折を肯定的に捉え直すサポートをします。
- 「たくさん頑張ってきた証拠だよ」
- 「結果はつらいけど、やってみたことはすごいね」
- 「どうしてこんなに落ち込むかというと、それだけ大事にしてたんだね」
こうした視点を伝えることで、子どもは「折れた」出来事を、成長につながる通過点として受け入れられるようになります。
「心が折れた」その後に、育てておきたい力
子どもが心の痛みから回復したあと、大人としてできることは何でしょうか?
それは、再び逆境に出会ったときに立ち直れる力、つまり内面的な回復力=レジリエンスを高めることです。
ここでは、そのために大切な3つのポイントをご紹介します。
1. 感情を言語化する力を育てる
「つらい」「くやしい」「悲しい」「自分を責めてる」など、自分の感情を言葉にできる子どもは、自己調整がしやすくなります。
普段から、
- 「今日はどんな気持ちだった?」
- 「それ、どんな感じがした?」
と問いかける習慣をつけましょう。
感情にラベルをつけることで、心の整理が早くなり、折れにくくなります。
2. 小さな成功体験の積み重ね
折れた心は、自己肯定感の回復によって元気を取り戻します。
そのためには、「やればできた」という感覚が必要です。
- 朝、時間通りに起きられた
- 自分でプリントを提出できた
- 苦手な問題にチャレンジできた
どんなに小さなことでも構いません。
達成できたらすぐに、「やれたね!」「がんばったね!」とフィードバックを返すことで、自己信頼が回復していきます。
3. 比較ではなく、本人の「変化」に注目する
心が折れやすい子どもほど、「周りと比べられている」と感じて苦しくなります。
→「昨日の自分と比べてどうだった?」
→「ちょっとだけ前よりできるようになったね」
というように、自分の中での成長や変化に注目する関わりが、自立したメンタルを育てます。
保護者が知っておきたい、心が折れた子へのNG対応
どれほど良かれと思っても、以下の対応は逆効果になってしまうことがあります。
- 「そんなことで落ち込むの?」と否定する
- 「もっと大変な子もいるよ」と比較する
- 「また頑張ればいいじゃん」とすぐに立ち直りを強要する
- 「親だって大変なんだから」と感情を打ち消す
これらは、子どもに「自分のつらさは理解されていない」と感じさせてしまい、二重の孤独感につながります。
心が折れた子には、共感・信頼・安心の三要素が何よりも必要です。
まとめ:心が折れた子どもへの関わりは、「未来を育てる」時間
心が折れた子どもを見るのは、保護者にとってもつらいものです。
でも、その瞬間こそが、子どもの感情と深くつながれるチャンスでもあります。
- 感情をありのまま受け止める
- 無理に立ち上がらせようとしない
- ゆっくりと自信を取り戻せる関わりを続ける
こうしたステップを丁寧に積み重ねていけば、子どもはやがて「自分で立ち直れる力」を身につけていきます。
心が折れることは、弱さではなく「人間らしさ」。
そして、そこから立ち直る姿こそが「本当の強さ」です。
子どもが再び一歩を踏み出すその日まで、そっと隣で、支えてあげましょう。
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