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感情だけに流されない子を育てる。「理に基づいて解する力」の育て方

理に基づく
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子育てや教育の場で、私たちが大切にしたい価値のひとつに、「理に基づいて考え、解する力」があります。
それは単なる知識の積み重ねではなく、「なぜそうなるのか」「どうしてそう考えるのか」を筋道立てて説明できる力です。

現代の子どもたちは、情報過多で刺激的な環境の中にいます。
だからこそ、感情や直感だけでなく、理(ことわり)=道理や筋道をもとに考える力が、学力だけでなく人間関係や社会生活にも直結する「生きる力」となるのです。

この記事では、「理に基づいて解する」力を子どもにどのように育てていくか、その背景と実践方法を解説します。

目次

「理に基づく」とはどういうことか

まず、「理に基づく」とはどういうことでしょうか。

簡単に言えば、それは「筋道を通して理解すること」です。
つまり、「どうしてそうなるのか?」を、論理的に、客観的に考えていくことを意味します。

たとえば、

  • なぜ今、宿題をやる必要があるのか
  • なぜ信号は守らなければならないのか
  • なぜ人に優しくすることが大事なのか

これらの問いに対して、感情やその場の雰囲気ではなく、理由や背景をもとに考える視点を持たせることが「理に基づく理解」です。

この力は、子どもが「納得して行動する」ことを可能にします。

感情だけでは育たない判断力

もちろん、子どもには感情も直感も必要です。

しかし、それだけでは次のような場面で困難に直面することがあります。

  • 「嫌だからやらない」となってしまい責任を持てない
  • 気分によって意見が変わってしまい、周囲と衝突する
  • 自分と異なる立場の人の意見を理解できず拒絶してしまう

このような状況を避けるためには、「自分の感じたこと」+「道理に合った判断」が必要です。
つまり、感情と理性のバランスがとれた思考の習慣が、子どもにこそ求められているのです。

「理に基づいて解する力」がもたらす3つの教育的効果

1. 説得力と信頼性が育つ

論理的に考えられる子どもは、自分の意見を言語化し、相手に納得してもらう力が育ちます。

  • どうしてそう思ったのか
  • それがなぜ大切だと考えたのか
  • 相手の意見とどう違うのか

こうした視点を持つことで、ただ自分の主張を押し通すのではなく、他者との信頼関係を築く力が育ちます。

2. 問題解決能力が伸びる

理に基づいて考える力は、トラブルや課題に直面したときに役立ちます。

  • 何が原因かを冷静に整理する
  • 複数の選択肢を比較検討する
  • 感情ではなく根拠で行動を選ぶ

これは、学習だけでなく人間関係や日常生活全般に必要なスキルです。

3. 自己理解と自律性が育つ

理に基づいて自分の行動や感情を見つめることは、自己理解を深めます。

「私はこう思った。なぜなら…」と考える習慣が、
内省(振り返り)と自律(自分で決めて動く)力につながります。

「やらされる」ではなく「納得して取り組む」姿勢が、学習意欲の向上にもつながるのです。

子どもに「理に基づいて解する力」を育てる具体的な関わり方

1. 「なぜそう思ったのか」を問いかける習慣を

日常の会話の中で、子どもが発言したときにすぐに否定せず、「どうしてそう考えたの?」と問いかけてみましょう。

例えば:

子ども:「〇〇ちゃんとはもう遊ばない!」
親:「どうしてそう思ったの?」
子ども:「意地悪されたから…」
親:「そうだったんだね。それってどんなことがあったの?」

このように気持ちを受け止めつつ、理由や経緯を引き出す対話を大切にします。

2. 感情と理屈を分けて整理する

「〇〇されたから、腹が立った」というように、
感情(怒った)と事実(〇〇された)を分けて話す練習も効果的です。

ホワイトボードやメモ帳に「起きたこと」と「感じたこと」を別々に書き出してみるのもおすすめです。

3. 子どもと一緒に「理由を考えるゲーム」をする

例えば、次のような問いを家族で出し合って考える時間を作るとよいでしょう。

  • 「なぜ道路は左側通行なの?」
  • 「どうして給食はバランスが考えられているの?」
  • 「どうして動物園には柵があるの?」

こうした理由を考える遊びを通して、楽しみながら理に着目する習慣が身につきます。

4. 親自身が「理」をもって説明する姿を見せる

大人が「ダメだからダメ」「ルールだから守りなさい」と感情で語るばかりでは、子どもも理で考えることを学べません。

「危ないから」「他の人に迷惑がかかるから」「約束は信頼だから」など、理由を添えて伝えることを意識しましょう。

親の姿勢そのものが、最良の学びの場になります。

理と情、どちらかに偏らない教育を目指して

最後に強調しておきたいのは、「理に基づく考え方」だけが正しいというわけではない、ということです。

感情(情)も、思いやりも、直感も、子どもにとっては大切な心の働きです。
だからこそ、「情を大切にしながら理で整える」ことができる力を育てていくことが、21世紀を生きる子どもに必要なのです。

理は、人を納得させる道具。
情は、人の心を動かす力。
このふたつのバランスを取ることが、人間的な成長の鍵になります。

まとめ

子どもが「理に基づいて解する」力を持つことで、以下のような変化が期待できます。

  • 納得して行動できるようになる
  • 自分の考えを自信をもって伝えられるようになる
  • 他者と建設的な話し合いができるようになる
  • 感情と行動を整理しやすくなる

理屈は冷たいものではなく、子ども自身を守り、周囲と調和を図るための力です。

まずは今日、子どもが話すときに「どうしてそう思ったの?」とやさしく問いかけてみませんか?
その一歩が、思考の扉を開く鍵になります。


キッズ学習アドバイザー

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