子どもが友達とのやりとりで「ずるい!」と感じる場面は、成長の過程でよく見られます。
それは、「自分と他人の扱いの違い」や「正しさ」に対する感受性が育ち始めている証拠でもあります。
しかし、「公正・公平」が何かを具体的に理解するには、知識だけでなく、体験や対話が必要です。
大人の一方的な教えではなく、子ども自身が「なるほど」と腑に落ちるような働きかけが大切です。
この記事では、子どもが社会性や倫理観を育むうえで不可欠な「公正・公平」の感覚について、どうすれば理解できるようになるのか、実践的な関わり方とともに解説します。
子どもは「平等」と「公平」の違いをどう感じているか
まず知っておきたいのは、子どもの「ずるい」は、必ずしも間違いではないということです。
たとえば、兄弟でケーキの大きさが違えば「ずるい!」。
友達が先に順番を抜かせば「なんで?」と感じます。
これは「平等=同じであること」に敏感な段階です。
一方、「公平=状況に応じた適切さ」を理解するには、もう少し経験を積む必要があります。
- 平等:同じものを同じだけ与える
- 公平:それぞれにとって必要なことを配慮する
この違いを言葉だけで説明しても、子どもには難しいものです。
だからこそ、日常生活でのやりとりの中で、体感として伝えていくことが重要です。
公正・公平を育む日常の関わり3つの基本
子どもが「公正さ」を理解し、他者と協力しながら生きていく力を育てるために、以下のような関わりが効果的です。
1. ルールの背景を丁寧に伝える
ただ「ルールだから守りなさい」ではなく、「なぜこのルールがあるのか」を一緒に考える習慣が大切です。
たとえば、
- 「順番を守るのは、みんなが安心できるから」
- 「片方だけ多くもらうと、他の人が悲しくなるから」
など、感情と合理性のバランスを取りながら説明することで、納得感が生まれます。
2. 子ども自身に「判断する体験」をさせる
大人がすぐに答えを出すのではなく、「どうすればいいと思う?」と問いかけてみましょう。
たとえば、トラブルが起きたときに、
- 「この場合、誰がどんな気持ちだったかな?」
- 「どうすればみんなが納得できるかな?」
という視点を与えると、他者の立場に立つ力が育ちます。
このような対話は、モラルや倫理の種を子どもの中に植える作業です。
3. 不公平な場面にも「説明する責任」を果たす
時には、年齢や体調、状況によって“同じ扱い”ができないこともあります。
その際、子どもが「ずるい」と感じるのは自然な反応です。
そのときに、「〇〇ちゃんはまだ小さいから今はこうしたよ」「今日は特別だけど、明日は交代ね」など、理由を言葉で丁寧に伝えることが大切です。
こうした説明を繰り返すことで、「状況に応じた対応がある=公平」と気づけるようになります。
公正・公平の感覚は「信頼関係」から育つ
子どもは、大人が一貫した態度でルールを運用しているか、よく見ています。
同じ行動に対して、大人がそのときの気分で怒ったり許したりしていては、「公平感」は育ちません。
子どもは、「この人は自分にとって安心できる存在か」「ちゃんと見てくれているか」を敏感に感じ取ります。
信頼感があってこそ、「あなたの言うことなら納得できる」という心の土台が築かれるのです。
その意味で、公平を教えるためには「まず大人自身が誠実であること」が何よりも重要なのです。
公正・公平の力が将来に与える影響
「公正・公平を理解する力」は、社会で人と協力して生きていく上で欠かせない力です。
この感覚が備わっている子は以下のような力を自然と身につけていきます。
- 他者の立場を理解しようとする「共感力」
- 自分の主張と相手の主張のバランスをとる「交渉力」
- 納得解を探す「問題解決力」
- ルールやモラルに基づいて判断する「倫理観」
これらは、学力やスキル以上に、将来の人間関係や仕事、社会参加に深く関わってくる力です。
まとめ:今だからこそ伝えたい「公正・公平の大切さ」
「ずるい」「なんであの子だけ」「これは不公平だよ」
そうした子どもの声に真摯に耳を傾けることが、公正・公平を伝える第一歩です。
大人が一貫したルールと態度で接し、時には一緒に考え、時には説明しながら、
子どもが「納得して受け止める」経験を重ねることで、その感覚は確実に育っていきます。
「みんなが気持ちよく過ごせるように、どうすればいいかを考えること」
それが、公正・公平の本質です。
子どもがその価値を心から理解し、将来にわたって活かせるよう、日々の関わりの中で少しずつ育てていきましょう。
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