夏休みも終盤。カレンダーが8月後半になると、保護者の方から「子どもが『学校行きたくない』と言い出しました」と相談を受けることが少なくありません。
長期休暇明けに見られる登校しぶりや拒否には、単なる「サボりたい」以上の理由が隠れていることが多くあります。
この時期に親ができることは、「無理に登校を促すこと」ではなく、子どもの心の動きに寄り添うことです。この記事では、その具体的なアプローチについて解説します。
なぜ「行きたくない」と感じるのか?心の中を読み解く
まず大切なのは、子どもが「行きたくない」と言ったとき、その背景にある感情や理由を丁寧に探ることです。
よくある主な理由
- 生活リズムの乱れによる体調不良や倦怠感
- 勉強についていけるかという不安
- 友達との人間関係や先生とのトラブル
- 宿題が終わっていない、課題へのプレッシャー
- 夏の解放感から現実に戻ることへの抵抗感
これらの要因は、いずれも子どもにとっては“現実的で切実な悩み”です。否定したり軽く扱ったりせずに、まずは「そう思っているんだね」と受け止めましょう。
「行きたくない」と言われたときのNG対応とOK対応
子どもが学校に行きたくないと言ったとき、焦ったり、不安になったりするのは親として自然な反応です。
しかし、対応を誤ると、子どもとの信頼関係にひびが入り、ますます不安が強まることも。以下に、避けたい対応と望ましい関わり方を整理してみましょう。
NG対応
- 「甘えてるだけでしょ」「そんなの誰でも行きたくないよ」
- 「行けばなんとかなる」「我慢しなさい」
- 「○○ちゃんはちゃんと行ってるよ」と他人と比較する
こうした言葉は、子どもの不安や苦しさを否定してしまうため、逆効果になります。
OK対応
- 「そっか、行きたくないと思うんだね」とまず受容する
- 「何が不安に感じてるのか、教えてくれる?」と気持ちを聞く
- 「一緒にどうしたらいいか考えていこう」と伴走姿勢を示す
「学校に行かせること」よりも、「子どもの気持ちに丁寧に寄り添うこと」が、信頼関係を築く鍵になります。
小さなステップで「安心」を取り戻す支援
子どもの不安を和らげるには、大きな変化ではなく“小さなステップ”の積み重ねが大切です。
生活リズムの立て直し
夏休み中に乱れた生活リズムは、精神状態に影響します。朝起きる時間を徐々に学校に近づける、朝の支度を習慣にするなど、「体」を学校モードに戻すことが大切です。
通学に向けた心のウォーミングアップ
- 学校までの道を一緒に歩いてみる
- 持ち物の確認や制服の準備を一緒にする
- 登校前の練習として午前中に図書館や塾に行ってみる
こうした“疑似登校”のような行動を通して、子どもが少しずつ自信を取り戻せるように支援します。
どうしても難しいときは「休む選択肢」もある
夏休み明けの数日間、どうしても不安が強くて動けない子どももいます。そのような場合には、無理に登校させる必要はありません。
「1日休むことで立ち直れるなら、休むのもあり」
「教室に入れなくても、保健室や別室登校から始める選択肢もある」
こうした柔軟な対応が、“自分の気持ちを尊重された”という安心感を生み出し、結果的に再登校のきっかけになることも多いのです。
また、学校側にも状況を丁寧に伝え、家庭と連携した支援体制を整えることが重要です。
子どもの「本音」が言える家庭の雰囲気づくりを
夏休み明けに子どもが「学校行きたくない」と言う背景には、本音を打ち明けられる家庭環境があるとも言えます。
一番大切なのは、子どもが安心して「つらい」と言える雰囲気です。
- 「どんな気持ちでも聞くよ」という姿勢を日常から
- 話を否定せず、まず最後まで聴く
- 無理に解決策を与えず、「一緒に考える」姿勢を大切に
こうした日々の積み重ねが、子どもの心の土台を支えるのです。
まとめ:子どもの心に耳を傾ける8月の終わりに
- 夏休み明けの「行きたくない」は、子どもからのSOS
- 否定せずに、まず受け止めることが信頼を育てる
- 小さな行動から心をほぐし、安心を積み重ねる
- 学校に戻るペースは一人ひとり違っていていい
- 子どもが「本音」を話せる家庭づくりが最大の支援
長い休みが終わる不安や緊張は、大人にもあります。だからこそ、子どもにとっての「新学期」が、安心してスタートできるように、私たち大人が心のサポーターでありたいものです。
↓下記の関連カテゴリーもチェックしてみましょう。
↓下記の外部サイトもチェックしてみましょう。
文部科学省「きみの好き!応援サイト たのしくまなび隊」を見る