子どもたちが生きていくこれからの社会は、変化が激しく、正解がひとつとは限らない時代です。
そんな中で注目されているのが、「ラテラルシンキング(水平思考)」と「ロジカルシンキング(論理的思考)」という2つの異なる思考法です。
本記事では、それぞれの思考法の違いと特徴を分かりやすく解説し、
子どもの発達や教育にどう活かせばよいのかを、具体的にお伝えしていきます。
ラテラルシンキングとは?
ラテラルシンキング(Lateral Thinking)とは、日本語で「水平思考」と訳されます。
この言葉は、マルタ出身の医師・心理学者エドワード・デ・ボノ氏によって提唱された概念で、
既成概念や論理の枠にとらわれず、発想の飛躍によって新たなアイデアや視点を生み出す思考法を指します。
特徴としては:
- 物事を多面的に見る
- 「正解はひとつではない」と考える
- アイデアや解決策を多数出すことを重視
- 直感や偶然をきっかけに発想を広げる
- 視点を変えたり、常識を疑うことを楽しむ
たとえば、「傘を使わずに雨の日に濡れずに歩くにはどうする?」という問いに対して、
「ビニール袋を体に巻く」「地下道を使う」「雨粒を避けて走る」など、常識にとらわれない自由な答えを出すのがラテラルシンキングの考え方です。
ロジカルシンキングとは?
一方、ロジカルシンキング(Logical Thinking)とは、日本語で「論理的思考」と呼ばれます。
物事の因果関係や筋道を整理して、正確に結論を導き出すための思考法です。
特徴としては:
- 事実やデータをもとに考える
- 原因と結果のつながりを意識する
- 情報を整理して、構造化する
- 前提を確認し、矛盾なく結論にたどり着く
- 論理の積み上げで「正解」に近づく
たとえば、「テストの点数が悪かったのはなぜか?」という問いに対して、
「勉強時間が少なかった」「理解不足があった」「睡眠不足で集中できなかった」など、
根拠をもとに順を追って考察するのがロジカルシンキングです。
ラテラルとロジカル、それぞれの使いどころ
この2つの思考法は、優劣をつけるべきものではなく、状況に応じて使い分けることが大切です。
比較項目 | ラテラルシンキング | ロジカルシンキング |
---|---|---|
目的 | 新しいアイデア・解決策の発見 | 筋道だった正確な判断・分析 |
特徴 | 常識にとらわれない発想 | 因果関係の整理 |
思考の方向性 | 横に広がる、自由に飛ぶ | 縦に掘り下げて深める |
活用される場面 | 発想、企画、創造、問題発見 | 判断、分析、問題解決 |
正解の有無 | 正解は複数あり得る | 正解はひとつに収束しやすい |
代表的な活動 | ブレインストーミング、発明 | レポート作成、数学的思考 |
たとえば、商品開発の初期段階ではラテラルシンキングが有効で、
「どんなアイデアが面白いか?」「こんな商品あったらどう?」と広く発想を広げます。
そして、それらの案を検証し、絞り込む段階ではロジカルシンキングで合理的に判断していきます。
子どもの思考力を伸ばすために両方が必要な理由
現代の教育では、「論理的思考力を育てましょう」という言葉はよく耳にしますが、
ラテラルシンキングの重要性がまだ十分に理解されていない場面もあります。
しかし、実社会では「柔軟に考える力」×「筋道を立てる力」の両方が必要です。
子どもにとっては:
- ラテラルシンキング=「発想の豊かさ」「柔軟性」「自由な表現」
- ロジカルシンキング=「理解力」「説明力」「説得力」
両方が育つことで、「面白い考え」を「納得できる形で伝えられる」子に育ちます。
家庭でできるラテラル&ロジカルの育て方
1. 「自由に考えてみよう」の問いかけを大切に
親が「どっちが正しい?」とすぐに答えを求めるのではなく、
「もしこうだったら?」「別の方法は?」と問いかけてみましょう。
- ラテラル:「この箱、何に使えるかな?」
- ロジカル:「なんでこの箱は強くできているのかな?」
思考の広がりと深まり、両方を経験させることができます。
2. 「なぜ?」を楽しむ姿勢を見せる
ロジカルシンキングは、「理由を考える力」です。
普段の会話でも「どうしてそう思ったの?」と掘り下げてみましょう。
一方で、「変なこと言うね」と笑ってしまうような子どもの発言も、
「それ面白いね、もっと教えて!」と受け止めることで、ラテラルな発想が広がります。
3. 遊びや学びを通してバランスよく刺激する
- ブロックや積み木 → 発想の自由(ラテラル)と構造の理解(ロジカル)
- 絵本の続きを考える → 創造(ラテラル)と筋の通し方(ロジカル)
- 迷路やパズル → 問題解決の筋道(ロジカル)と遊び方の工夫(ラテラル)
遊びの中で両方を行き来することが、最も自然な思考力トレーニングです。
まとめ:子どもの未来に必要な「2つの思考力」
ラテラルシンキングとロジカルシンキングは、正反対のように見えて、
どちらも問題解決には欠かせない重要な思考法です。
- ラテラルシンキングは発想を広げ、新たな可能性を見つける力
- ロジカルシンキングは考えを整理し、他人に伝える力
子どものうちから、「正解を出す力」だけでなく、「柔軟に考える力」も同時に育てていくことで、どんな社会でも活躍できる土台が築かれていきます。
まずは、家庭でのちょっとした会話や遊びの中から、
この2つの思考を自然に取り入れていくことが、未来につながる第一歩になるのです。
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