友だちとのトラブル、勉強のつまずき、将来への不安…。
子どもたちは成長の中で、さまざまなストレスや困難に出会います。
そんなとき、「心が折れない」「立ち直る力」があるかどうかで、未来は大きく変わっていきます。
その力こそが「レジリエンス(resilience)」――心理学の世界で「心の回復力」や「逆境に負けない力」として注目されている概念です。
この記事では、教育支援・発達心理の視点から、子どものレジリエンスを家庭で育む具体的な方法をお伝えします。
レジリエンスとは「我慢」や「鈍感さ」ではない
まず、誤解されがちな点から押さえておきましょう。
レジリエンスとは、「何があっても気にしない」「落ち込まない」ことではありません。
むしろ、
- 傷ついても立ち直れる
- 自分の感情に気づきながら調整できる
- ピンチの中でも自分の価値を見失わない
といった感情と向き合う力、再構築する力です。
つまり、レジリエンスは「強さ」ではなく、「しなやかさ」。
失敗も涙もあるけれど、それを糧に進んでいける力なのです。
レジリエンスが高い子の共通点とは?
レジリエンスが高い子どもには、次のような共通点があります。
- 自分の気持ちを言葉にできる
- 困ったときに頼れる大人がいる
- 「失敗してもいい」と思える経験がある
- 成功より「工夫」「がんばり」を褒められてきた
- 物事を多面的にとらえる視点をもっている
これはすべて、「特別な性格」ではなく、環境や関わり方によって育まれる力です。
つまり、親のかかわり方次第で、子どものレジリエンスは十分に育てることができるのです。
家庭でできる!レジリエンスを育む5つの関わり
ここからは、子どものレジリエンスを育てるために、日常生活の中で保護者ができる関わり方を5つ紹介します。
1. 感情に名前をつける習慣をもつ
「なんかイヤ」「ムカつく」ではなく、
「悲しかった」「くやしかった」「がっかりした」と感情を細かく言葉にする力は、レジリエンスの基盤です。
→「それって悲しかったね」「悔しい気持ちもあるよね」と、大人が代弁しながら語彙を増やすことが大切です。
感情を見える化できると、自分の状態を理解し、他者とも共有しやすくなります。
2. 小さな失敗を「学びのチャンス」に変える
レジリエンスは、失敗体験なしには育ちません。
ただし、それを責められたり、無視されたりすると逆効果になります。
→ たとえば、「うまくいかなかったけど、何ができたと思う?」と聞いたり、
「挑戦したことがすごいね」と過程を肯定してあげることが重要です。
「失敗=悪」ではなく、「失敗=成長」だと受け取れるような関わりが、心の回復力を育てていきます。
3. 問題を一緒に分解して考える
子どもが困難にぶつかったとき、「何が問題か」「どこから手をつけられるか」を一緒に考えることで、自己解決力と見通し感が育ちます。
→「この中で、できそうなことはある?」「全部じゃなくて、まず1つやってみる?」と選択肢を提示しながら整理しましょう。
成功体験を積むことで、「どうせ無理」が「ちょっとやってみよう」に変わっていきます。
4. 相談できる関係性をつくる
レジリエンスの高さは、「一人で頑張れる」ことではありません。
必要なときに、助けを求められる力も含まれています。
→「何か困ったことがあったら、いつでも話していいよ」という安心感を、普段から言葉と態度で示しておくことが大切です。
「誰かに頼ってもいい」と思えることで、困難の重さは半分になります。
5. 日常の中に「希望の種」をまく
落ち込んでいるときに「がんばれ」と言われるより、
「大丈夫、乗り越えられるよ」「これもいつか笑い話になるかもね」といった未来志向の声かけは、子どもの心に灯をともします。
→さらに、「前も難しかったけど、〇〇はできるようになったよね」と過去の乗り越え体験を思い出させるのも効果的です。
希望は、自信と回復力をつくる最大の栄養源です。
レジリエンスは、長い目で育てる「生きる力」
レジリエンスは、短期的に成果が見える力ではありません。
でも、思春期・社会人・親になったとき――人生の節目で、必ず支えとなる「生きる力」です。
小さなうちから、
- 感情を認められる体験
- 試行錯誤を楽しめる環境
- 失敗しても安心できる人間関係
を積み重ねていくことが、しなやかに生きる子どもを育てていきます。
まとめ:心は「折れない」より「戻れる」ほうが強い
レジリエンスの高い子どもは、トラブルや失敗に直面しても、「ゼロ」になりません。
落ち込むことがあっても、少しずつ立ち上がり、自分で前を向くことができるからです。
それは、感情と向き合い、自分を信じ、他者とつながれる経験の中で育ちます。
保護者が「失敗してもいい」「いつでも味方だよ」というメッセージを日々届けることで、
子どもの中に「困難に負けない心の根っこ」が育っていくのです。
今日も一歩ずつ、子どものしなやかな強さを育てていきましょう。
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