スマホやゲーム、習い事に追われる現代の子どもたち。
気がつけば「ヒマさえあれば退屈そうにしている」「毎日の楽しみを感じていない」という姿が、あたり前になっていないでしょうか。
けれど実は、「日常を楽しめる子」は人生のさまざまな場面で強くしなやかに生きていけます。
この記事では、発達心理・教育支援の視点から、日々の何気ない暮らしの中に喜びを見出せる子どもを育てるための具体的なヒントをお伝えします。
「楽しい」は環境ではなく視点で決まる
子どもが楽しそうに過ごしていないと、「何か特別な刺激を与えなければ」と考える保護者は多いかもしれません。
しかし実際には、どんなに充実した環境でも「楽しむ視点」がなければ、心は満たされません。
逆に、日常のささいなことに喜びを感じる力があれば、どんな場所でも幸せを見つけることができます。
たとえば、
- 雨の日の音に耳をすませてみる
- 野菜の色や形におもしろさを感じる
- お風呂で湯気を指でなぞって絵を描く
これらはすべて、日常を楽しむ「感性」のあらわれです。
こうした感性は、子ども自身の中にある「見る力」「感じる力」「面白がる力」を育てることで伸ばしていくことができます。
日常を楽しめる子は、ストレスにも強くなる
「日常を楽しめる力」は単にごきげんな性格をつくるだけではありません。
実はこれは、子どもの自己肯定感や心の回復力(レジリエンス)とも深く関係しています。
なぜなら、日常の中に喜びを見いだせる子は、
- 自分の感情に気づける
- 小さな幸せに満足できる
- 今あるものを価値あるものとしてとらえる
という心の基盤が整っており、たとえ嫌なことがあっても**「全部がイヤになる」状態に陥りにくい**からです。
これは、将来社会に出てからのストレス対処力にもつながる、大きな心の財産になります。
日常を楽しめる子に育てる5つの親の習慣
それでは、家庭の中で「日常を楽しめる子」を育てるにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、特別な準備や高価なおもちゃは不要で、今日から取り組める5つの習慣をご紹介します。
1. 「気づき」を言葉にして一緒に楽しむ
大人が「おもしろいね」「きれいだね」と感じたことを、言葉にして子どもと共有することは、感性の育成に大きな影響を与えます。
たとえば、
- 「空の雲、あんな形してるよ」
- 「洗濯物、風で踊ってるね」
- 「お味噌汁のにおい、あったかくなるね」
こうした声かけは、子どもの「感じる力」を呼び起こし、「日常の発見」を楽しむセンスを育ててくれます。
2. 「暇」を歓迎する姿勢をもつ
退屈そうにしていると、つい何か遊びを提供したくなるものです。
しかし実は、「ヒマな時間」は子どもが想像力を働かせ、自分で楽しみを見つける力を伸ばすチャンスでもあります。
何もしない時間こそ、「遊びをつくる」「世界を感じる」豊かな土台になります。
→「何かしたいことある?」「どんなことしてみようか」と子ども自身のアイデアを引き出すような声かけをしてみましょう。
3. 体験を言葉にして整理する時間を持つ
夕食時やお風呂の時間など、親子で「今日どんなことが楽しかった?」と話す習慣をもつことも効果的です。
→ 体験を言語化することで、「今日の中にも喜びがあった」と再認識する力が育ちます。
この習慣が続くと、子ども自身が「喜びを探す目」をもつようになります。
4. 大人が「今を楽しむ」背中を見せる
「あとで片づけなきゃ…」「早くして」など、私たち大人はつい“未来のタスク”に心を奪われがちです。
でも、子どもは大人の表情をよく見ています。
- 「今日の夕焼け、すごいね」
- 「このお茶、香りがよくてほっとするね」
そんな言葉を自然に発する大人の姿を見て、子どもも今この瞬間を味わう感覚を身につけていきます。
5. 「日常を肯定的に語る」語彙を増やす
同じできごとでも、語り方によって心の印象は変わります。
- 「また雨だね…」より
- 「今日はしっとり雨の音がきれいだね」の方が、心に余裕を与えます。
言葉の選び方は、子どもの世界の見え方=人生の感じ方に直結します。
ポジティブに語る習慣は、感性の土壌を豊かにする最高の栄養になります。
教育は「非日常」ではなく「日常」の中にある
特別なイベントや旅行も楽しいものですが、子どもの心を育てる本当の舞台は、日常の連続性の中にあります。
- ごはんを一緒につくる
- 一緒に歩いて季節を感じる
- 同じ景色の中で、昨日とのちがいに気づく
このような積み重ねこそが、子どもの「感じる心」と「楽しむ力」を育てていくのです。
まとめ:楽しむ力は、人生を生き抜く根っこの力
「日常を楽しめる子ども」を育てることは、単なる明るい性格をつくることではありません。
それは、感性・想像力・回復力・自己肯定感といった、あらゆる土台となる力を育てることでもあります。
楽しむ力は与えられるものではなく、「一緒に発見し、感じ、言葉にする」関わりの中で育ちます。
そしてその過程こそが、親子の心のつながりを深め、日常にぬくもりを加えてくれるのです。
「何か楽しいことないかな?」と探すのではなく、
「今日の中に、楽しいことあったかな?」と感じられる子を育てていきましょう。
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