「素直な子に育ってほしい」──これは、多くの保護者や教育関係者が願う共通の思いです。
しかし、「素直」という言葉にはさまざまな意味が含まれており、言うことをよく聞く子=素直な子と誤解されることもあります。
本来の「素直さ」とは、大人の命令に従順であることではなく、自分の気持ちや意見をまっすぐに表現でき、他人の意見にも耳を傾ける柔軟な心を持つことです。
この記事では、そんな「素直な心」を持った子どもを育てるために、大人がどのような関わり方をすればよいのか、心理学や発達理論をもとにわかりやすく解説します。
「素直さ」と「従順さ」は違う──まずは親の意識から整える
「なんでこの子は素直じゃないの?」と感じたことがある方も多いかもしれません。
でもその問いの前に、まずは「素直」と「従順」を混同していないかを確認することが大切です。
たとえば、
- 自分の意見をしっかり主張する
- 理不尽なことには「嫌だ」と言える
- 誰かの言葉をすぐに信じ込まず、自分で考える
これらは一見、素直でないように見えるかもしれませんが、実はとても健全な発達の証です。
「素直」とは、自分の気持ちや考えを曲げることなく、相手の言葉に心を開ける態度のこと。
つまり、自己主張と他者尊重が両立している状態とも言えるのです。
この点を大人が正しく理解していないと、子どもの主体性を押しつぶしてしまう危険性があります。
子どもが素直さを身につけるための3つの育み方
では、どうすれば子どもが健やかな素直さを身につけることができるのでしょうか?
ここでは、心理的安全性を土台にした3つの実践的アプローチを紹介します。
1. 「正直に言ってくれてありがとう」の姿勢を持つ
子どもが「嫌だ」「やりたくない」と本音を言ったとき、大人はどう反応していますか?
つい「そんなこと言わないの!」と否定してしまいがちですが、これでは子どもは心を閉ざす方向に育ってしまいます。
たとえ受け入れられない内容でも、まずは、
- 「そう思ったんだね」
- 「正直に話してくれてうれしいよ」
と子どもの気持ちを一度受け止めることが大切です。
この経験の積み重ねが、子どもにとって「自分はここで本音を言っても大丈夫だ」と感じさせ、結果的に素直さにつながっていきます。
2. 間違いを責めず、振り返りを一緒に行う
子どもが失敗したときや、意地を張ってしまったとき、大切なのは責めることではなく振り返りの対話です。
たとえば、
- 「あのとき、どうしてそうしたのかな?」
- 「別のやり方もあったかもしれないね」
と、一緒に考えるスタンスを取ることで、自己理解と他者理解のバランスが育っていきます。
ここで怒られてばかりいると、「素直になると損をする」という学びになってしまい、自己防衛として反抗的になってしまうこともあります。
3. 大人自身が「素直な背中」を見せる
子どもは、大人の言葉よりも行動や態度から多くを学びます。
- 間違えたときに「ごめんね」と言える
- 子どもの言葉に「なるほど」と耳を傾ける
- 気づきがあったら「たしかにそうかも」と素直に認める
こうした姿を日常的に見せている大人の子どもは、自然と「素直でいることは強さだ」と感じ取るようになります。
素直さは教えるものではなく、大人が実践することで伝えるものなのです。
子どもの素直さを引き出すために避けたい言動
逆に、素直さを奪ってしまう関わり方もあります。以下のような言動は、注意が必要です。
- 「どうしてそんなこと言うの!」と感情的に否定する
- 「いい子なら○○できるでしょ?」と条件づける
- 兄弟や他の子と比較してプレッシャーを与える
- 「どうせできないくせに」と意欲をくじく言葉を投げかける
これらはすべて、子どもが「本当の気持ちを見せると傷つく」「ありのままでは受け入れてもらえない」と学ぶ原因になります。
素直さは、自己開示と安心のセットで育つ心の質です。
素直な子が育つと、どんな力につながるのか?
素直さは、単なる性格的な特徴ではありません。
この資質が育つことで、次のような力が自然と養われていきます。
- 自分の考えを率直に伝えられる「自己表現力」
- 他者の意見を受け止められる「柔軟性」
- 心を開いて学べる「学習意欲」
- 感情に正直でいられる「自己肯定感」
これらは、学校生活はもちろん、将来の人間関係や社会適応力にも深く関係してきます。
まとめ:素直さは、信頼と安心の中で育つ心の筋力
素直さは、生まれつき備わっているものではなく、日々の人間関係の中で育てられていく感情の土壌です。
叱られずに言える、責められずに受け止めてもらえる、
そんな「安全基地」があるからこそ、子どもは素直な心を保ったまま成長していけます。
大人が心を開き、子どもの声に耳を傾ける。
その姿勢こそが、子どもにとって最大の手本であり、最良の教育です。
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