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子どもの所作に“品”を──TPOに合ったふるまいを育てるには

所作
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「うちの子、場所や相手に合わせた態度ができなくて…」
「急に大声を出したり、場にそぐわない動きが気になります」

このような相談は、学齢期の保護者からよく寄せられます。
子どもにとって「TPOにあった所作」は、社会の中で信頼され、スムーズに関係を築くための基本的な力です。

本記事では、子どもの発達に応じたTPOの捉え方と、日常生活で所作を育てる具体的方法を、学習支援と教育の視点からお伝えします。

目次

所作は「しつけ」ではなく「自己表現力」

まず知っておきたいのは、TPOに合った所作とは、単にマナーや作法の習得ではないということです。

  • T(Time:時間)
  • P(Place:場所)
  • O(Occasion:場合)

この3つに応じて、自分の動き・言葉・ふるまいを選択する力が本質です。

つまり、「今はどう振る舞えばよいか」を自分で考え、表現を調整できる子は、単なる“よい子”ではなく、状況適応力と自己調整力に優れた子どもといえます。

この力は、学力や運動能力以上に、将来にわたって人間関係や社会生活の基盤となるのです。

幼児期〜学齢期に育てたい「ふるまいの感度」

TPOに合った所作を育てるには、段階に応じた“気づき”の経験が欠かせません。

年齢ごとに、育ちやすいポイントは以下の通りです。

発達段階育てたい所作の力
幼児期(3〜6歳)あいさつ・順番待ち・静かにする場面の理解
低学年(6〜9歳)声の大きさ・身のこなし・話すタイミング
高学年(10〜12歳)相手の立場への配慮・状況判断・言葉選び

たとえば、園の発表会では「静かに座る」、葬儀では「頭を下げる」、バスでは「高齢者に席を譲る」など、意味のある体験として覚えることで、子どもの感性と実践力が結びついていきます

日常に取り入れられるTPOのトレーニング方法

では、具体的にどのような関わりや工夫が効果的なのでしょうか?
家庭や学校で簡単に取り入れられる実践方法をご紹介します。

1. あいさつ・身だしなみを“体で覚える”

最も基本的な所作は「あいさつ」と「清潔感ある身だしなみ」です。

  • 朝は元気に「おはよう」
  • 靴を揃える
  • ハンカチ・ティッシュを持つ

これらを日々のルーチンに組み込むことで、「人前で整える」「自分を律する」意識が育ちます。

大人も一緒に鏡の前で練習したり、外出前に“身だしなみチェック”を親子で行うことが、自然な習慣づけにつながります。

2. 絵本やドラマで“場面を想像”させる

子どもは実際に体験する前に、物語の中でシミュレーションすることで所作のイメージをつかみやすくなります

  • 「このシーンでは、主人公はどんな気持ち?」
  • 「この場所なら、どう振る舞うのがよさそう?」

と問いかけながら見ることで、TPOを“気持ちと行動で結びつける”練習ができます。

場面の切り替えが苦手な子には、写真絵本や感情カードを使ったやりとりも有効です。

3. 「TPOクイズ」で楽しく学ぶ

ゲーム感覚で「こんなときどうする?」を考えさせるのも効果的です。

  • 電車で携帯電話を使うとき、どうする?
  • 初めて会う人と話すときの表情は?
  • 神社に行ったとき、どうふるまう?

このように、状況・時間・相手を想定しながら自分の行動を選ぶ練習が、思考力と所作の感度を高めてくれます。

子どもの所作を注意するより、認める関わりを

所作を育てる際に、もっとも大切なのは「しからない」ことです。

例えば、
「そんなことするんじゃありません!」ではなく
「そういうときは、こうすると気持ちが伝わるよ」
という形で**“どうすればよかったか”を共有する姿勢**が大切です。

さらに、良い所作を見せたときには、

  • 「今のあいさつ、すてきだったね」
  • 「席を譲ってあげられて優しかったよ」

と、行動そのものを具体的に褒めることで、子どもは“再現可能な行動”として自覚するようになります

所作の根っこにあるのは「他者へのまなざし」

TPOにかなった所作ができる子どもは、他者の存在に気づき、相手を大切にできる人です。

大人の目が届くところでよい所作をするよりも、誰も見ていないところで自然に丁寧なふるまいができる人間性こそ、本当の育ちです。

その根底には、

  • 周囲への関心
  • 相手の気持ちを思う想像力
  • 自分を律する心の力

といった、非認知能力の成長があります。

これは決して一度で身に付くものではなく、日々の生活の中で繰り返し経験し、受け止めてもらうことによって少しずつ育まれるのです。

まとめ:所作は「生きる力」の外見的表現

子どもの所作は、その子の内面のあらわれであり、同時に社会とのつながりをつくる大切な入り口です。

だからこそ、大人が目指すべきは、「完璧なマナーを教えること」ではなく、

  • 子どもが“自分で考えて振る舞えるようになる”環境をつくること
  • 相手や場面に合わせて“思いやりを表現できる”習慣を育てること

その積み重ねが、将来どんな場所でも信頼され、尊重される人に育てていく第一歩になります。

子どもに“ふるまいの品格”を。
それは、学歴よりも深く、肩書きよりも強い、人としての魅力の礎となるでしょう。


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