友達とケンカが始まっているのに、うちの子はただ突っ立って見ている。
危ない場所に近づいているのに、本人はまったく気づいていない。
やりたいことがあるはずなのに、いつも一歩を踏み出せずに後回しにしてしまう。
こんな場面、見覚えがありませんか。私自身、たくさんの子どもたちと関わる中で、これらすべてに共通する一つの力があることに気づきました。それが状況判断力です。
この記事を読むと、次の3つがわかります。
- なぜ今、状況判断力がこれほど大切なのかという理由
- 家庭で今日から始められる、具体的な育て方
- その子の個性に合わせた、声のかけ方のコツ
なぜ、状況判断力がこんなに大事なのか
「頭がいい子は判断力もあるでしょう」と思われるかもしれません。でも実はここ、少し違います。
状況判断力というのは、知識の量というより、知力・判断力・行動力を組み合わせて使う、いわば総合的な力です。テストで良い点を取れることと、目の前で友達がケンカしている時にどう動くかは、まったく別の話なんです。
考えてみれば当然かもしれません。世の中の変化は年々速くなっていて、「こうすればうまくいく」という決まったパターンが通用する場面はどんどん減っています。学校生活でも、友達とのすれ違いや先生への相談、日常生活での交通ルールやネットの使い方、そして将来の進路選びまで――子どもたちは、あらゆる場面で「今、自分はどう動くべきか」を問われ続けています。
この力があるかないかで、困難にぶつかった時の乗り越え方も、チャンスをつかめるかどうかも、大きく変わってきます。
家庭でできる、3つのステップ
では、実際にどう育てればいいのでしょうか。私がおすすめしているのは、次の3つのステップです。
ステップ1:経験から「気づく力」を育てる
子どもは、日々の経験を通して、状況判断のための材料を少しずつ蓄えていきます。でも、ただ経験させるだけでは足りません。そこに「なぜ?」「どうして?」という問いかけを添えることが、気づく力を育てる鍵になります。
たとえば、その日にあった出来事を親子で話してみる。絵本やニュースを見ながら、登場人物がなぜそう動いたのかを一緒に考えてみる。公園で遊んでいる時に、「今、周りはどんな様子かな?」とふと聞いてみる。こういう小さな積み重ねが、じわじわと効いてきます。
ステップ2:選択肢を示して「考える力」を育てる
状況に気づけるようになったら、次は「じゃあどうする?」を考える段階です。答えを先に渡してしまうのではなく、「もし〇〇だったら、どうする?」と問いを投げかけてみてください。
友達とトラブルになった時に「どんな解決の仕方があるかな」と聞いてみる。欲しいおもちゃがある時に「本当に今必要?」と一緒に考えてみる。ゲームの時間について「いつ、どれくらいならちょうどいいと思う?」と相談してみる。答えを教えるより時間はかかりますが、この遠回りこそが力になります。
ステップ3:行動を後押しして「自信」を育てる
考えられるようになった次は、実際に動いてみる段階です。ここで大事なのは、過保護になりすぎないこと。「やってみよう」という気持ちを引き出しながら、結果がどうであれ、そのプロセスを認めてあげてください。
「自分で考えて動けたね」「挑戦したこと自体がすごいよ」。うまくいかなかった時も、「次はどうしたらいいか、一緒に考えてみよう」と前向きに声をかける。失敗を責めるのではなく、次への足がかりに変えてあげる。それだけで、子どもの中の自信は少しずつ育っていきます。
年齢によって、声のかけ方は変わる
同じ状況判断力でも、育て方は年齢によって変わってきます。
幼児期の子には、絵や人形劇など、目に見える形で伝えるのが効果的です。「ダメ!」だけで終わらせず、「これをすると危ないよ」「こうしたらどうかな」と、具体的に言葉を添えてあげてください。
小学校低学年になると、「もし〜だったらどうする?」という問いかけが力を発揮し始めます。友達との遊びの中でルールを守る経験を積みながら、小さな成功体験を重ねていく時期です。
小学校高学年では、ニュースや新聞など、実社会と結びついた話題が良い教材になります。いろいろな考え方に触れながら、自分の意見を言葉にして説明する経験を積ませてあげましょう。
その子らしさを、まず認めることから
状況判断力は、一朝一夕には育ちません。焦らず、その子のペースを尊重することが何より大切です。
じっくり考えてから動く慎重なタイプの子には、急かさず、時間をかけて考えさせてあげてください。小さな成功を積み重ねることで、自信は少しずつついてきます。
まず動いてみる活発なタイプの子は、失敗も多いかもしれません。頭ごなしに否定せず、「なぜそう思ったの?」と振り返りを促しながら、安全に配慮しつつチャレンジ精神を伸ばしてあげましょう。
周りに流されないマイペースなタイプの子には、「あなたのペースで大丈夫」という安心感を渡してあげてください。競争させるより、興味のある分野から状況判断の場面を用意するほうが、うまくいくことが多いです。
おわりに
状況判断力は、机の上の勉強だけでは身につきません。日々の暮らしの中で、少しずつ積み重なっていくものです。
今日紹介した3つのステップを、まずは一つだけでも試してみませんか。子どもが自分で考え、自分で動けたその瞬間を見られること。それは、親としてこの上ない喜びのひとつだと思います。
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