「テスト、また悪かった……」
そう言って、宿題のプリントを机の隅に押し込んだまま、しばらく動かなくなってしまうお子さん。もし今、そんな姿に見覚えがあるなら、少しだけこの記事に付き合ってもらえたらと思います。
私は長年、教育相談の場でこうした子どもたちと接してきました。そして気づいたのは、成績が悪いこと自体が問題なのではなく、「どうせ自分にはできない」という言葉が口をついて出てしまうこと。これが本当に厄介な壁になっているということです。
ネガティブな感情、実はここまで影響している
「一度の失敗くらい、そんなに気にしなくても……」
大人はそう思ってしまいがちですが、子どもの心の中では、一度の失敗がじわじわと広がっていくことがあります。テストで悪い点を取った。発表でつっかえた。友達に笑われた。こうした出来事が積み重なると、「自分はできない子だ」という思い込みが、まるで色眼鏡のように子どもの目にかかってしまうんです。
すると、次に新しいことへ挑戦する場面が来たとき、頭の中に浮かぶのはこんな声です。
「どうせ失敗するし」 「やっても意味ないし」
一度この色眼鏡がかかると、挑戦する前から諦めてしまう。これがどんどん積もっていくと、学校に行くこと自体が億劫になったり、友達との関わりを避けるようになったりすることもあります。放っておくと、学びだけでなく人との関係づくりにまで影響が広がってしまう。これが、ネガティブな感情を見過ごせない一番の理由です。
じゃあ、どうすればいいの? 今日からできる3つのこと
理屈はわかった、でも実際どうすればいいのか。そこが一番知りたいところですよね。ここからは、現場で実際に効果を感じてきた具体的な関わり方を紹介していきます。
1. 「結果」より「途中経過」に光を当てる
テストで80点取れた、コンクールで入賞した。もちろんこうした結果は嬉しいものです。ただ、結果だけを褒めていると、子どもは「結果が出せないと認めてもらえない」と感じてしまうことがあります。
そこで意識してみてほしいのが、途中の過程に目を向けること。
「今回、苦手な漢字のページ、いつもより多くやってたね」 「難しい問題、諦めずに3回も書き直してたの、見てたよ」
結果ではなく、そこに至るまでの努力そのものに光を当てる。すると子どもは、うまくいかなかったときでも「頑張ったこと自体には意味がある」と感じられるようになります。これが、次のチャレンジへの土台になっていくんです。
2. 気持ちを「先に言葉にしてあげる」
子どもが不機嫌そうに黙り込んでいるとき、「どうしたの? 何かあった?」と聞いても、案外「別に」と返されて終わってしまうことがありますよね。
こんなとき、少し先回りして気持ちを言葉にしてあげると、子どもの表情がふっと緩むことがあります。
「テストの点、思ってたのと違ったのかな」 「なんか、うまくいかなくて悔しかったんじゃない?」
これがぴったり当たっているかどうかは、実はそれほど重要ではありません。「自分の気持ちを誰かがわかろうとしてくれている」という感覚こそが、子どもの心を落ち着かせる一番の薬になるんです。
3. 比べる相手を、静かに横に置いておく
「お兄ちゃんはこのくらいできたのに」「クラスの誰々さんはもっと点数良かったよ」。こうした比較の言葉、実はかなり刺さっています。本人は口に出さなくても、心の中では「自分は劣っている」という感覚だけが残ってしまうことが多いんです。
比べる相手は、他人ではなく、少し前の本人自身にしてみる。
「前回より、ここができるようになったね」
この一言があるだけで、子どもは自分の成長を、自分の目で確かめられるようになります。
家庭と学校、両方から支えられると強い
ここまで家庭でできることを中心に紹介してきましたが、実はもう一つ大事な視点があります。それは、家庭だけで頑張りすぎなくてもいいということです。
学校の先生も、子どもにとって大切な「見てくれている存在」の一人です。担任の先生に「最近、こんなことで落ち込みがちなんです」と一言伝えておくだけで、教室での関わり方が少し変わることもあります。
家庭で受け止めて、学校でも見守ってもらえる。この両方があることで、子どもにとっての「安心できる場所」が一つではなく、二つ三つと増えていきます。逆に、家でも学校でも気を張っていなければならない状態が続くと、子どもの心はどんどん疲れてしまいます。
だからこそ、一人で抱え込まず、周りの大人同士でも「最近どうですか」と声を掛け合っておくこと。これも、地味だけれど効果のある取り組みの一つです。
「どうせ無理」という言葉が出てくるたびに、実は子どもは心の中で、小さなSOSを出しているのかもしれません。
その言葉を聞いたとき、すぐに励まそうとしなくても大丈夫です。まずは「そう感じてるんだね」と、その気持ちをそのまま受け止めてあげる。それだけで、子どもの中で固まっていた色眼鏡が、少しずつ緩んでいくことがあります。
今日、お子さんが浮かない顔をしていたら、結果を聞く前に、途中経過を聞いてみませんか。その小さな問いかけが、子どもの「どうせ無理」を「やってみようかな」に変えていく、最初の一歩になるはずです。
質問に答えてAI分析する家庭向けレポート作成ツール、家庭完結型「お子さまのトリセツ」のnote記事
▶https://note.com/kidsla_jp/n/nb37f025bb952
文科省や各自治体の指標を基にした教員ツール「教員自己分析・内省カルテ:自分のためのリフレクションとキャリアデザイン」のnote記事 ▶https://note.com/kidsla_jp/n/ndf777e987983
学習指導要領の趣旨(主体的・対話的で深い学び等)を基にした教員ツール「授業デザインメーカー:学級の実態から授業構成・板書・評価を考える」のnote記事▶https://note.com/kidsla_jp/n/n4280716ee931
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