「片付けなさい」「勉強しなさい」「早くしなさい」
この3つのセリフ、1日に何回口にしていますか? 正直に言うと、私自身、多い日は数えるのをやめてしまうくらい言っています。それなのに、子どもの行動はなかなか変わらない。むしろ言えば言うほど、子どもの表情が固まっていくような気さえします。
なぜでしょう。実はここに、行動を変えるということの、ちょっとした誤解が隠れています。
「言えば伝わる」わけじゃない
子どもに何かをやってほしいとき、私たちはつい「指示」という形を選びがちです。「片付けなさい」も「勉強しなさい」も、どれも立派な指示です。ただ、指示というのは、そこに「なぜそれをするのか」という理由が乗っていないと、子どもの中で長く続かないんですよね。
言われたその瞬間はやるけれど、次の日には元通り。こんな経験、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
実は子どもの行動が変わっていくプロセスには、順番があります。まず自分の行動が誰かに見てもらえている。それを認めてもらえる。そして「またやろう」という気持ちが自分の中から湧いてくる。この順番を飛ばして、いきなり「やりなさい」から始めてしまうと、子どもにとってはただの命令として耳を通り過ぎていってしまうんです。
今日から試せる、4つの関わり方
理屈だけでは物足りないですよね。ここからは、実際に家庭や教室で効果を感じてきた具体的な方法を紹介していきます。
1. 褒める言葉は、できるだけ「具体的」にする
「すごいね」「よくできたね」。この言葉、悪くはないのですが、実はもう少し工夫できる余地があります。
「おもちゃ、色ごとに分けて片付けたんだね」 「妹が泣いてたとき、すぐ声かけてあげたの見てたよ」
このように、何をどうしたのかを具体的に言葉にして伝えると、子どもは「自分のこの行動が認められたんだ」とはっきり理解できます。ぼんやりした褒め言葉は右から左に流れていきますが、具体的な言葉は、しっかりと子どもの記憶に残るんです。
2. 目標は、子どもと一緒に「小さく」する
「毎日1時間勉強しよう」。この目標、大人が見ればごく普通の設定に思えます。でも子どもにとっての1時間は、私たちが思う以上に果てしなく長いものだったりします。
そこでおすすめしたいのが、目標を思いきり小さくすること。
「今日は算数のプリント1枚だけやってみようか」 「本を5ページだけ読んでみる?」
小さすぎるくらいでちょうどいいんです。達成できたときの「できた!」という感覚こそが、次への一番のガソリンになります。大きな目標を掲げて息切れするより、小さな目標を積み重ねていく方が、結果的に続く確率がずっと高くなります。
3. 言葉より先に、自分がやってみる
「ありがとうって言いなさい」と教える前に、実は一番効くのは、大人がその場で「ありがとう」と誰かに言っている姿を見せることです。
ある保育園で、先生が毎朝、他の先生に「今日もよろしくね」と声をかける習慣を続けていたところ、いつの間にか子どもたちも自然と挨拶を交わすようになったという話を聞いたことがあります。誰も「挨拶しなさい」と教えていないのに、です。
子どもはこちらが思っている以上に、大人の振る舞いをよく見ています。言葉で教えようとする前に、まず自分がその行動をしている姿を見せる。これが実はもっとも近道だったりするんです。
4. 約束は、紙に書いて「見える形」にする
口約束だけだと、数日経てば本人もすっかり忘れてしまうもの。これは大人でも同じですよね。
「毎日絵本を1冊読む」「お風呂上がりに歯を磨く」。こうした約束を、簡単な紙に書いて壁に貼っておくだけで、子どもは自分でその約束を思い出せるようになります。達成できた日にシールを貼っていくのも効果的です。目に見える形にしておくことで、約束が「言われたこと」から「自分で決めたこと」へと少しずつ変わっていきます。
実際にやってみた家庭の話
ある家庭では、夕食の後に「今日、お互いに良かったところを一言ずつ言い合う時間」を作ってみたそうです。最初は子どもも「別にない」と恥ずかしがっていたそうですが、1週間続けるうちに、自分から「今日はお姉ちゃんが手伝ってくれた」と話すようになったと聞きました。
特別なことをしたわけではありません。ただ、良いところを言葉にする時間を、毎日の中に組み込んだだけです。この積み重ねが、家族全体の会話のトーンを少しずつ変えていったんですね。
大人に求められるのは、忍耐と「待つ力」
正直なところ、行動が変わるまでには時間がかかります。今日褒めたからといって、明日からすべてがうまくいくわけではありません。
うまくいかない日があっても、それを責める必要はまったくありません。「なんでできなかったの?」ではなく、「今日はどこが難しかったんだろう」と一緒に振り返ってみる。この違いだけで、子どもが次のチャレンジに向かう気持ちは大きく変わってきます。
焦らず、その子のペースを見ながら、小さな進歩を一緒に喜ぶ。地味に思えるかもしれませんが、これこそが一番確実な近道です。
「片付けなさい」を100回繰り返す代わりに、片付けた後の一言を変えてみる。「勉強しなさい」を言う前に、目標を少しだけ小さくしてみる。
今日、そのうちどれか一つだけでも試してみませんか。小さな変化ですが、続けていくうちに、子どもの行動は驚くほど自然に変わっていくはずです。
質問に答えてAI分析する家庭向けレポート作成ツール、家庭完結型「お子さまのトリセツ」のnote記事
▶https://note.com/kidsla_jp/n/nb37f025bb952
文科省や各自治体の指標を基にした教員ツール「教員自己分析・内省カルテ:自分のためのリフレクションとキャリアデザイン」のnote記事 ▶https://note.com/kidsla_jp/n/ndf777e987983
学習指導要領の趣旨(主体的・対話的で深い学び等)を基にした教員ツール「授業デザインメーカー:学級の実態から授業構成・板書・評価を考える」のnote記事▶https://note.com/kidsla_jp/n/n4280716ee931
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