パズルを渡すと、まず完成図をじっと眺めてから組み立て始める子。一方で、隅から一つずつ確実にはめていく子。同じ課題を与えても、取り組み方がまるで違う。そんな場面、見たことありませんか。
「なんでこの子だけ、手順どおりにできないんだろう」。そう感じたことがあるなら、実はそこに、その子なりの頭の使い方が隠れているのかもしれません。
考え方には、もともと二つのタイプがある
同じ景色を見ても、細かい部分に目が行く子と、全体の雰囲気をつかむ子がいます。同じ問題を出しても、論理的に順序立てて考える子と、感覚でパッと答えを出す子がいます。
これは知能の差ではなく、「認知スタイル」と呼ばれる、考え方の癖のようなものです。大きく分けると、「分析的認知」と「包括的認知」という二つのタイプに分けられます。生まれつきの気質もあれば、家庭や学校での経験も影響しながら、この考え方の癖は育っていきます。
部分から積み上げる子、全体からつかむ子
分析的認知のタイプは、物事を要素に分解して考えます。部分に注目しやすく、論理や因果関係で考えることが得意。「なぜそうなるのか」を明確にしたがり、段階を踏んで課題に取り組みます。
算数の文章題で「まず何を求めるか」を整理する。理科の実験結果を、原因と結果に分けて考える。こういうことが自然にできるのが、このタイプです。ルールがはっきりしたゲームを好んだり、「理由を教えて」とよく口にしたり、図や表を使った学習を好んだりする子は、このタイプが多いかもしれません。
一方の包括的認知は、物事を全体的に、直感的に捉えます。全体像を一瞬でつかみやすく、文脈や雰囲気にも敏感。感覚的に理解し、イメージで記憶する力が強いタイプです。
国語の読解で、人物の気持ちをイメージとしてつかむ。図工で、なぜか自然に色のバランスが取れる。説明よりも実演で覚えるのが早く、感情表現が豊かで、パズルや空間の把握が得意。全体を見てから部分に進みたがる子は、このタイプに当てはまることが多いです。
どちらが優れているという話じゃない
ここで大事なことを、一つはっきりさせておきたいんです。この二つのタイプに、優劣はありません。
算数の解法を進めるときは、分析的認知が力を発揮しやすい場面です。逆に、芸術表現や読解の感想文では、包括的認知が生きてきます。どちらも、学ぶ上で、そして生きていく上で必要な力なんですよね。
「この子、集中力がないのかも」その誤解、認知スタイルのズレかもしれません
先生が「手順どおりにやりましょう」と指示したとき、包括的認知の子は完成形が見えないと、逆に不安で動けなくなることがあります。
反対に、感覚でパッと答えを出してしまう子に「どうやってその答えになったの?」と聞くと、うまく説明できずに「わかんない」としか言えないこともあります。
こういうすれ違いが続くと、「この子は集中力がない」「説明が雑で理解が浅い」「考える力が弱い」。そんなふうに誤解されてしまうことがあるんです。でも実際は、その子の頭の使い方に合った伝え方が、まだ見つかっていないだけかもしれません。
それぞれのタイプに合わせた、関わり方
分析的認知の子には、こんな関わりが合っています。手順やゴールを、はっきり伝える。因果関係や理由を、丁寧に説明する。作業を小さく分けて示す。時系列で整理する練習を取り入れる。
包括的認知の子には、少し違うアプローチが効きます。まず全体像をイメージで見せる。「感じたこと」や「気づいたこと」を聞いてみる。感覚的な表現も、そのまま受け止めてあげる。アートや物語を通した学びを取り入れてみる。
さらに一歩進んで、子ども自身に自分の傾向を知ってもらうことも、実は大きな意味を持ちます。
「きみは全体を見てから動くタイプだね」 「細かく説明してもらった方が、やりやすいんだね」
こうした声かけが、自分自身を理解する力を育てていきます。
「違い」は、才能への入り口
「みんなと同じやり方ができる子」を、つい優秀だと感じてしまいがちです。でも本当は、その子なりの認知スタイルの違いこそが、才能への入り口なんですよね。
細かく分析して、深く掘り進められる子。感覚でつかんで、直感的に何かを作り出せる子。どちらも、それぞれにしかない強みを持っています。
その子がどんな頭の使い方をしているのか、少し立ち止まって観察してみる。その違いを認めて、活かしていく。それが、子どもが自分らしく学んでいくための、大人にできる一番のサポートなのかもしれません。
質問に答えてAI分析する家庭向けレポート作成ツール、家庭完結型「お子さまのトリセツ」のnote記事
▶https://note.com/kidsla_jp/n/nb37f025bb952
文科省や各自治体の指標を基にした教員ツール「教員自己分析・内省カルテ:自分のためのリフレクションとキャリアデザイン」のnote記事 ▶https://note.com/kidsla_jp/n/ndf777e987983
学習指導要領の趣旨(主体的・対話的で深い学び等)を基にした教員ツール「授業デザインメーカー:学級の実態から授業構成・板書・評価を考える」のnote記事▶https://note.com/kidsla_jp/n/n4280716ee931
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