「え、そんなに頑張ったつもりだったの?」
先日、小学3年生の息子が漢字テストの結果を見せてくれたときのことです。点数はお世辞にも良いとは言えませんでした。でも本人はニコニコしながら「今回、けっこう頑張ったんだよね」と言うのです。正直、その言葉に一瞬言葉を失いました。
こういう、親子の間で評価がすれ違う感覚。心当たりのある方、きっと少なくないと思います。
このズレ、「まあ子どもってそういうものだよね」で済ませてしまうのはちょっと惜しいなと感じています。子どもの自己肯定感や、これから伸びていく方向にまで、想像以上に関わってくるからです。
今日は、なぜこの評価のズレが生まれるのか。その奥にある気質や受け止め方の違いから、実際にどう向き合っていけばいいのかまで、順番にお話ししていきます。
そもそも、見ている景色が違う
さっきの息子の話に戻ります。テストの点数だけ見ていた私と、「今回はこの漢字、前より覚えられた」と感じていた息子。同じ紙を見ているのに、映っている景色がまったく違ったんですよね。
親はどうしても「比較」と「将来」というレンズで子どもを見てしまいます。他の子と比べてどうか。今の結果がこの先どう影響するか。社会的な物差しで測ってしまう。これは決して悪いことではなく、親という立場だからこそ自然に生まれる視点だと思います。
子どもが見ているのは、もっとシンプルです。「今、この瞬間」の感覚と、「自分なりに頑張った」という実感。比べる相手は友達ではなく、たいてい「昨日の自分」。好きなことに対しては、素直に自信を持てるものです。
「集中力が足りないなあ」と親が思っている横で、子どもは「好きなことにはちゃんと集中してるんだけどな」と思っている。こんなすれ違い、驚くほどよく起きます。評価の基準そのものが、最初から違うんです。
ズレが生まれる、3つの理由
1. 生まれ持った気質の違い
子どもには、生まれつきの感じ方や反応の仕方の傾向――いわゆる気質というものがあります。慎重なタイプの子は「自信がなさそう」に見えがちですし、社交的なタイプの子は「落ち着きがない」と映ることもあります。
娘の友達に、とても慎重な子がいます。お母さんは「うちの子、消極的で心配」と話していましたが、その子自身は「よく考えてから動く自分」に満足しているようでした。優劣の話ではなく、それぞれのスタイルの違いなんですよね。
2. 親の期待値が、実は少し高い
子どもがある程度の力を見せてくれると、つい「もっとできるはず」と思ってしまう。これ、親であれば誰でも一度は経験があるのではないでしょうか。
子どもが今できていることと、親が思い描くレベル。この間には、案外大きなギャップがあることが多いです。そのギャップこそが、評価のズレとして目の前に現れてきます。
3. 頑張りが、目に見えにくい
「頑張った」「あきらめなかった」「友達を助けた」。こうした努力や価値は、点数のようにはっきり数字で表れるものではありません。
だから、気づかないまま見過ごしてしまう。悪気があるわけじゃないんです。ただ、見えにくいものは、どうしても見逃されやすい。それだけのことなんですよね。
そのズレ、放っておくとどうなるんだろう
ここでひとつ、想像してみてほしいことがあります。「頑張ったのに、認めてもらえない」。この感覚が積み重なっていくと、子どもの中に何が育つでしょうか。
「どうせわかってもらえない」という思い込みです。この思い込みは、静かに、でも確実に自信を削っていきます。
「親に褒められるため」に頑張るようになると、もっと厄介なことが起きます。本人の中にあった「やりたいからやる」という気持ちが薄れていき、表面だけを取り繕う”いい子”になってしまうことがあるのです。
「ちゃんと見てくれていない」という感覚は、思春期以降、親子の会話そのものを減らす原因にもなりかねません。うちの息子もそうですが、今は素直に話してくれる年齢だからこそ、今のうちに向き合っておきたいと感じています。
裏を返せば、このズレにきちんと目を向けて対話の材料にできれば、子どもの成長を支える大きな力にもなるはずです。
ズレを埋めるために、今日からできる3つのこと
① 評価の物差しを、少しだけ広げてみる
「何ができたか」だけでなく、「どこに挑戦したか」「どんな気持ちで取り組んだか」「昨日と比べて何か変わったか」。こうした過程や内面を映す物差しを、もうひとつ持ってみるのはどうでしょう。
私は最近、テストの点数を見る前に「今回、どこが一番大変だった?」と聞くようにしています。すると息子は「〇〇の部分、最初は全然わかんなかったけど、途中でコツがつかめた」と教えてくれました。点数には反映されない、でも確かにあった成長でした。
② 「事実」と「解釈」を、いったん切り離してみる
「また忘れ物をした。だらしない子だ」。この決めつけに入る前に、一度立ち止まってみてください。まずは「忘れ物をした」という事実だけを受け止める。それだけです。
そこから「なぜそうなったんだろう」「次はどうしたらいいかな」と、一緒に考える姿勢に切り替えてみる。この一手間だけで、会話の空気がずいぶん変わります。
③ まずは、最後まで聞いてみる
評価を下す前に、子ども自身の言い分を聞く時間を作ってみてください。「わかってもらえた」という感覚があるだけで、子どもは安心して自分を見つめ直せるようになります。
「なんで途中で投げ出したの?」ではなく「途中で何があったの?」。この言葉の選び方だけでも、子どもの表情がふっと変わることがあります。実際に息子に試してみて、その変化を目の当たりにしたときは、こちらが驚いてしまいました。
おわりに――ズレは対立の種ではなく、対話の入口
親と子の評価が一致しないこと自体は、実はとてもよくある話です。大事なのは、それを対立の原因にしてしまうのか、対話のきっかけとして受け止めるのか。その選び方だけなんですよね。
親が子どもの世界を理解しようとすること。子どもが親の期待を知ることで、自分を少し客観的に見られるようになること。両方の理解が少しずつ深まっていけば、あのズレは、いつの間にか成長のチャンスに変わっていきます。
うちの息子との漢字テストの話も、あのとき点数だけで判断していたら、彼が感じていた小さな進歩に気づけなかったと思います。景色が違うことを知っているだけで、見えてくるものが変わってくる。そんな気がしています。
質問に答えてAI分析する家庭向けレポート作成ツール、家庭完結型「お子さまのトリセツ」のnote記事
▶https://note.com/kidsla_jp/n/nb37f025bb952
文科省や各自治体の指標を基にした教員ツール「教員自己分析・内省カルテ:自分のためのリフレクションとキャリアデザイン」のnote記事 ▶https://note.com/kidsla_jp/n/ndf777e987983
学習指導要領の趣旨(主体的・対話的で深い学び等)を基にした教員ツール「授業デザインメーカー:学級の実態から授業構成・板書・評価を考える」のnote記事▶https://note.com/kidsla_jp/n/n4280716ee931
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