「今日のごはん、何がいい?」 「どっちでもいい」
「休みの日、どこ行きたい?」 「別に、どこでも」
こんな会話、ご家庭で心当たりありませんか。実はこの「どっちでもいい」、本当に何も考えていないわけではないケースが多いんです。むしろ、心の中では何か思っていても、それを口に出すことに、どこかブレーキがかかっている。そんな状態だったりします。
これからの時代、自分の意見を持って、それを誰かに伝えられる力がますます大事になってくると言われています。でも実際の教室や家庭では、「うちの子、意見をなかなか言わなくて」という声を本当によく耳にします。今日はこの、意見を言えない裏側にある理由と、家庭でできる具体的な関わり方についてお話ししていきます。
なぜ子どもは黙ってしまうのでしょう
「考えがないから黙ってるんじゃないの?」
そう思われがちですが、これは大きな誤解です。実際に子どもたちと話してみると、頭の中にはちゃんと考えがあることがほとんど。ただ、それを口に出すことが「安全」だと感じられていないんですよね。
たとえば、以前こんな場面を見たことがあります。ある子が「僕はこう思う」と発言したところ、すぐに「いや、それは違うでしょ」と大人に返されてしまいました。その子、次の質問のときには、もう手を挙げませんでした。
たった一度の「否定」でも、子どもの中には「言わない方が安全だ」という感覚がしっかり刻まれてしまうんです。これが積み重なると、間違えることへの恐れが強くなり、「正解じゃないと言っちゃいけない」という空気が心の中に出来上がってしまいます。
さらに、大人がつい先回りして結論を言ってしまうことも、実は発言の機会をこっそり奪っていることがあります。「こうしなさい」と言われる前に、子ども自身が「どうしようかな」と考える時間。ここが飛ばされてしまうと、考える練習の場そのものが減ってしまうんです。
つまり、「考えがない」のではなく、「言っていいと思えていない」。この違い、すごく大きいと思いませんか。
考える力と、言葉にする力。この2つが噛み合ってこそ
自分の意見を言えるようになるには、実は2つの力が必要になります。頭の中で考える力と、それを言葉に変換する力。この2つが揃って、初めて「自分の考えを伝える」ということが成立します。
どちらか一方だけでは足りません。考えていても言葉にできない子もいれば、言葉は流暢でも実は考えが浅い子もいます。この2つの力、家庭でどう育てていけばいいのか、具体的に見ていきましょう。
1. 「どっち?」で終わらせず、「なぜ?」まで聞いてみる
「今日の服、赤と青、どっちがいい?」と聞いて、子どもが「赤」と答えたとき、そこで会話を終わらせてしまうと、実はもったいないんです。
「どうして赤の方がいいと思ったの?」
この一言を付け加えるだけで、子どもは自分の選択を振り返って、理由を探し始めます。最初は「なんとなく」としか答えられないかもしれません。でも繰り返していくうちに、「赤の方が今日の気分に合ってる気がして」なんて答えが出てくるようになるんです。選ぶことと、理由を考えることは、実は別の作業なんですよね。
2. 質問の向きを、その子自身に絞ってみる
「みんなはどう思う?」という問いかけ、実はけっこう答えにくいものです。誰が答えるべきかがぼんやりしているので、つい様子を見て黙ってしまう子が出てきます。
「〇〇ちゃんはどう思う?」
名前を呼んで、その子だけに向けて聞いてみる。すると、逃げ場がなくなる分、ちゃんと自分の考えを探しに行くようになります。最初は照れて小さな声になるかもしれませんが、それでも一歩前進です。
3. 「説明する場面」を、生活の中にこっそり増やす
「今日読んだ本、どうだった?」と聞くのもいいのですが、もう少し具体的にしてみると効果が変わります。
「今日読んだ本の中で、一番好きなページはどこ? なんでそこが好きなの?」
理由まで含めて聞かれると、子どもは頭の中で情報を整理してから話す練習になります。この「整理して話す」経験、実は学校の発表の場面よりも、こうした何気ない日常会話の中でこそ積み重なっていくものなんです。
「言っていいんだ」と思える空気、どうやって作る?
考える力と言葉にする力、この2つを育てても、もう一つ大事な土台が欠けていると、子どもはやっぱり黙ってしまいます。それが、「言っても大丈夫」という安心感です。
まず受け止める
子どもが何か意見を言ったとき、それが的外れに聞こえても、いきなり訂正したくなる気持ちを一度飲み込んでみてください。
「そう思ったんだね」
このひと言があるだけで、子どもは「聞いてもらえた」と感じます。訂正は、その後でも十分間に合います。
違う考えがあることを、さらっと伝える
「〇〇さんはこう考えてるみたいだよ」と、他の視点をさらりと添えてみる。これは否定ではなく、「考え方はいろいろあるんだよ」というメッセージになります。子どもは自分の意見を否定されずに、別の見方も知ることができるんです。
反応を、ちゃんと返す
「面白いね、それってこういうこと?」と、興味を持って聞き返してみる。この反応があるかないかで、子どもが次に発言しようとする気持ちは大きく変わってきます。無反応が一番、子どもの発言意欲を静かに削いでしまうんです。
意見を言える子は、実は人との関わり方も変わっていく
自分の考えを言える力、これは単に「発言できる」ということだけの話ではありません。
意見を言葉にする経験を積んだ子は、自分の気持ちや困りごとも、周りに伝えられるようになっていきます。「今、これが困ってる」と言葉にできる子と、黙って一人で抱え込んでしまう子。この差は、成長するにつれて驚くほど大きくなっていきます。
それに、自分の意見を持てるようになった子は、不思議なことに、他人の違う意見も受け入れやすくなります。自分の考えに自信があるからこそ、違う考えを聞いても揺らがずにいられる。これって、大人になってからも本当に必要な力ですよね。
特別なことじゃなくていい。日常の会話が土台になる
ここまで色々な方法を紹介してきましたが、実はどれも特別な教材や時間を必要としません。
「今日のごはん、なんでそれがいいと思ったの?」 「そう思ったんだね」 「話してくれてありがとう」
この3つの言葉を、日常のどこかに挟み込んでみる。それだけで、子どもの中で「自分の考えには価値がある」という感覚が、少しずつ育っていきます。
正解を言える子を育てることより、自分の考えを持って、それを誰かに伝えられる子を育てること。これからの時代、後者の力の方がずっと大切になってくるはずです。
今日、「どっちでもいい」という返事が返ってきたら、もう一歩踏み込んで「なんでそう思ったの?」と聞いてみませんか。その小さな問いかけの積み重ねが、子どもの中に眠っている考えを、少しずつ言葉にする力へと育てていくはずです。
質問に答えてAI分析する家庭向けレポート作成ツール、家庭完結型「お子さまのトリセツ」のnote記事
▶https://note.com/kidsla_jp/n/nb37f025bb952
文科省や各自治体の指標を基にした教員ツール「教員自己分析・内省カルテ:自分のためのリフレクションとキャリアデザイン」のnote記事 ▶https://note.com/kidsla_jp/n/ndf777e987983
学習指導要領の趣旨(主体的・対話的で深い学び等)を基にした教員ツール「授業デザインメーカー:学級の実態から授業構成・板書・評価を考える」のnote記事▶https://note.com/kidsla_jp/n/n4280716ee931
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